すべてよFになれ

明け方までに「赤緑黒白」は一気に読んでしまった。
これで森博嗣氏のVシリーズこと瀬在丸紅子シリーズは、完結ということになるらしい。
作中の時代設定は、予想通り。
その辺りに関しては、「六人の超音波科学者」を読めばだいたい気付くのですが、その直後に「捩れ屋敷の利鈍」を持ってきたことが、演出だったわけですな。
本当の天才に翻弄される天才たちの話が収束していきます。
これでもかというくらいに拡散させた大風呂敷が、すすすってくらい明確に針穴に向けて収束していき、そして針穴を抜けた後にまた拡散していく。
そんな感覚です。

それにしても、林さんはずるい。
いや、気付きましたよ。Vシリーズ開始から読み始めて、その真実が明らかになる2ページ前に。
「なんだよ、結局エピローグまで林さんの名前出てこないのか? ……ん? まてよ?」
一気に頭の中で仮説がまとまる。
そして、2ページほど読み進めて、
「やっぱり」
……とつぶやきが漏れる。直感って大事ね。

風呂敷大きすぎ。
普通の作家は、叙述トリックは、その一冊の中でおさめるのに、Vシリーズは、シリーズを通して大きなトリックを構築している……としかいいようがない。
これ以上はネタバレになるから何も言わないけど、犀川&萌絵シリーズが好きだったけど、瀬在丸シリーズを食わず嫌いのままでいる人は、10冊まとめて読めって感じ。
抵抗があるなら「捩れ屋敷の利鈍」からでいいよ。
その方が「黒猫の三角」が面白くなるかも。

夢・出逢い・魔性」あたりから引き込まれはじめ、
魔剣天翔」に涙して、
「恋々蓮歩の演習」で心を打たれ、
六人の超音波科学者」で「あれれ?」と思い、
朽ちる散る落ちる」でその違和感は確信に代わり、
赤緑黒白」で収束する。

信者ですね、まるで。
全肯定はしません。所詮は娯楽ですから。
この日記は波間に浮かぶブイみたいなものですし。

で、7時間寝て、起きていつもと同じ生活。
一年前に何があったかは、何も今日思い出さなくても、常に頭の中にある。