NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE

2004年という年は、コミックヒーローやアニメヒーローが続々と映画化している奇妙な年だ。ヒーロー映画好きな僕としては、この風潮は大歓迎で、余すところなく観たいのだが、この映画に関しては「忍者ハットリくんは、ヒーローか?」という疑問があり、二の足を踏んでいた。 が、「ネタとして観にいこう」という話があがり、観にいくことになった次第。 うん。これはヒーロー映画というよりは、『REX 恐竜物語』(1993)や『水の旅人 侍KIDS』(1993)と同じ、マレビトとの出会いと別れを軸に少年少女の成長を描いたジュヴナイル映画だ。この手の映画では『ジュブナイル』(2000)という傑作があるので、なかなかこれを越える作品を作るのは難しいんじゃないかと思う。 こういう作品では子役の演技力が作品を評価する上での重要なファクタとなるのだが、そういう意味ではケンイチ氏役ジャニジュニの知念侑李は少々微妙だっように思えた。 昨今、素敵な子役は山のようにいる中で、これはちっと辛かったかも知れない。 また、「忍者ハットリくん」というコンテンツの性質上、主人公がケンイチなのかハットリくんなのか、ハッキリしなかったのがマイナス方向に機能していたように思う。二人が主人公という位置付けというよりは、中途半端なイメージがつきまとっていた。 で、ハットリくんだが、ビジュアル的にはどうなんだろう? 『キューティーハニー』においてサトエリはちゃんとハニーになっていたと思うが、これは、香取慎吾が忍者の格好をしているようにしか見えなかった……とは言いたくないのだけれど、それはつまり香取慎吾のキャラクタがハットリくんに勝ってしまっていた、ということなのだろう。いいのか、悪いのか。 忍術シーンにおけるアクションやCGの見どころは殆どが冒頭に集約されていた。東京へやってきたハットリくんが、銀座のビルの上を飛び跳ねていくシーンは、やりようによってはスパイダーマンになれたのに、と惜しい感が残る。 後半の忍者アクションは、忍者ゆえに吹き替えを殆ど使わず、役者本人がやっているシーンが多いので、変身ヒーローものに比べると迫力に欠ける気がした。 しかし、黒影役の升毅は必要以上にカッコ良かった。っていうか、升毅だとはわからなかった。ラストプレゼント仮面ライダーアギトの彼からは想像できなくて、これはある意味、観てよかった。 あと、ケムマキ役のゴリはいろいろな意味でおいしかったように思う。 内容的には惜しい。被害者の接点が不明なまま次々と起こる連続毒物事件。ミステリィ風に進んでいくのだが、実はこれが、甲賀の抜け忍狩りだったというオチは、ネタ的にも悪くなかった。ああ、これだけ独立してケムマキ主役の映画にした方が、魅力的だったかも……。まあ、いろんな意味で惜しい映画だったように感じた。 子役のブリーフ姿が好きな人だけは、すぐにでもこの映画を観るべし。 『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』(2004) 監督:鈴木雅之 脚本:マギー プロデューサ:福山亮一/和田行/宮澤徹/瀧山麻土香/和田倉和利 音楽:服部隆之 出演:香取慎吾田中麗奈/ゴリ/知念侑李/戸田恵子浅野和之宇梶剛士/東幹久/佐藤和也/長谷川成義/安達直人草彅剛川田広樹酒井敏也村上ショージ乙葉瀬戸朝香/西村雅彦/阿南健治田中要次正名僕蔵/畠山明子/武川修造/朱源実/筒井巧/根岸紗里/戸川暁子/森下能幸/塩谷恵子/佐藤佐吉/戲武尊/武井秀哲/光宣/森嶋將士/七枝実/越康広/伊藤慎一/木下政信/原田光規/真田幹也/ペキ/保科光志/佳本周也/藤田けん/小川敏明/高田滋裕/升毅伊藤四郎 原作:藤子不二雄A
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