ヨムゲキ100『髑髏城の七人』
アカドクロ版とアオドクロ版の戯曲は、K.NAKASHIMA SELECTION VOL.10『髑髏城の七人 アカドクロ アオドクロ』として、昨年、論創社から発売されました。
でも、読みたいのは97年版『髑髏城の七人』なんだよなぁ……と思っていたのですが……そういえば演劇ぶっく社から発売されていましたね。
こってり忘れてました。ヨムゲキ100の存在自体を……(笑)。
そんなに良い装丁ではありませんが、安価で戯曲を求めることができます。堀口大介が出演した真空海月館の『うちに来るって本気ですか?』(作:石原美か子)もこのシリーズから販売されていますね。
というわけで97年版の戯曲です。
基本的には芝居まんまの内容ですが、実際の舞台にはアドリブもあるし演出で新たにつけられた部分もあります。
小ネタなど、細かいところは台本と違いました。
台本レベルでは、駄洒落などを書くと、一見、寒く見えてしまいがちなのですが、実際に上演されたものを見れば演出次第で良くなります。その辺りも想定して書かなきゃ行けないというのは大変ですよね。
内容は今更語るまでもないのですが、こういう歴史の隙間をついた無茶な作品は好きです。
信長や幕末など、人気史実(笑)に関わりある題材を用いて戯曲化するときは、講談のタネになるような魅力的な逸話が多いせいか、あれもこれもと欲張って、作中の経過時間が数年(或いは数十年!)に及んでしまいがちなのですが、そういう話は大抵、駄目駄目です。
そういう意味でも、この話はよくできてます。
他に好きなのは惑星ピスタチオ『Believe』、これっきりハイテンションシアター『サイボーグ侍』などでしょうか?
いかん、程度が知れますね……(苦笑)。
それと、内容とは直接関係ないのですが、台本を読むと熊木赤針斎、弥助、希三郎、小巻、輪胴轟雷筒などの漢字表記がわかります。
熊木赤針斎……元ネタがあったのか。
ラストにほんの少しの蛇足──
後に捨之介と沙霧がどうなったかを暗示するような件があります。
でも、たしかにこれは蛇足。
願わくば、捨之介には今度こそ本当に浮世の義理も縁もすべて流して、のんびりと余生を暮らして欲しいものですよね。
ヨムゲキ100『いのうえ歌舞伎 髑髏城の七人』(演劇ぶっく社)
中島かずき
ISBN4-89987-038-8
追伸:できれば90年版の戯曲も読みたいなぁ……。無理かなぁ、「若気のいたり」とか公言してるしなぁ……。
追伸:できれば90年版の戯曲も読みたいなぁ……。無理かなぁ、「若気のいたり」とか公言してるしなぁ……。