阿修羅城の瞳2003
「そうか……。それでも、おらぁ、死なねぇか……」
久々にDVD『阿修羅城の瞳 BLOOD GETS IN YOUR EYES』の2003年版をとも嬢に借りて観た。
前に借りた時はあとがつかえていたので、コメンタリィなどは聴かずに返してしまったのだが、今回はコメンタリィや「夢桜」のミュージッククリップなども堪能させてもらった。
映画やノベライズ版の鑑賞後に、じっくり落ち着いて観てみると見えてくるものもあるね。
ただ、去年観たときに比べ、染五郎や天海への愛着が深くなっているし、四谷怪談への造詣も多少は深くなっているものの、大筋の感想は変わらず。
文化文政、と時代をぼかしているものの、冒頭の中村座でのやりとりを見る限り、文政8年(1825)年で間違いなさそう。文政8年には、後世に語り継がれるような大火は起きていない(と思う)けど。
前に観たときも桜姫や祓刀斎が浮いているなぁ、と思ったのだが、やはり浮いている。
キャラ的に浮いていたり、役者的に浮いているように見えるのは、そういう演出なのだが、ストーリィそのものから乖離しているスタンドアローンなファクタなのだとあらためて感じた。
そういう枝葉も含めてすべて「阿修羅城」なのだ。
だから、短縮を考えなければいけなくなった場合、その枝葉は見るからに伐採したくなってしまうものなんだけど、剪定を誤ると格好がつかなくなってしまう危険性があるというトラップなんだな。
それが良くわかった。
桜姫や祓刀斎のみならず、十三代目安倍晴明というトンデモ設定や、戦う渡り巫女、鬼御門三界衆という愛すべき枝葉を伐ってしまわざるを得なかった映画版に齟齬が出てしまうのは当然だろう。
コメンタリィは、いのうえひでのり&市川染五郎の解説バージョンと、天海祐希、伊原剛志、橋本じゅん、中島かずきの雑談バージョン。
中島かずきの弁を聞いているとやはり、まんが的方法論なんだな、と気づくね。
「イメージとしては鶴屋南北の書いている文字が実体化して出門に絡みつく感じ」なんて、まるで少年まんがだもの。
まんが的方法論で小劇場を昇りつめ、果ては歌舞伎役者やら宝塚俳優などを巻き込んで、新橋演舞場でやってるんだから、リスペクトせなあかんなぁ。
染様もしびれるが、天海祐希のダンスや歌唱がやたらと豪華な2003年版。こりゃ、なんとかして2000年版も観なきゃいけないなぁ。
Inouekabuki Shouchiku-mix
『阿修羅城の瞳 BLOOD GETS IN YOUR EYES』(2003)
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:市川染五郎/天海祐希/夏木マリ/高田聖子/橋本じゅん/右近健一/山本カナコ/保坂エマ/黒石えりか/山田麻衣子/川原正嗣/前田悟/河野まさと/村木仁/インディ高橋/吉田メタル/Taki/磯野慎吾/麻見奈央/横山一敏/藤家剛/船橋祐司/武田浩二/佐治康志/三住敦洋/フランキー仲村/松本染二郎/松本錦次/和田三四郎/阿波連朋子/栗原妃美/武田みゆき/白川亜季/高橋志穂/柳田陽子/伊原剛志/小市慢太郎/近藤芳正
映像STAFF
プロデューサ:沢渡光祐
ディレクタ:井上和行/前嶋輝
撮影監督:野口かつみ
追伸:こないだ、これのプレミアム上映会やったそうですな。行きたかったなぁ。
追伸:こないだ、これのプレミアム上映会やったそうですな。行きたかったなぁ。