下妻物語

この映画をレンタルで観てから、感想を書くまでに二ヶ月以上が過ぎてしまった。 忙しかったとか、劇場で観た映画の感想を優先していた、というのもあるが、なんとなくどう書こうか迷いがあったのは事実だ。 この映画を観た時の最初の感想は「やられた!」という気持ちだった。面白かったというより、敗北感に近いものを感じたように思う。いや、ポカーンとしていた、といった方が正しいか。 映画は実際面白かった。 しかし、目をそむけられないのは、内容というよりは見せ方。 プレゼンテーション。 この映画は深田恭子演ずる主人公であるロリータ娘・竜ヶ崎桃子の視点から始まる。 物語の主軸はその竜ヶ崎桃子と、土屋アンナ演ずるヤンキー娘・白百合イチゴという二人の少女の友情である、と観た後なら言える。 が、映画は本題にはなかなか入らない。 まず外堀を埋めるところから始める。 その埋め方が阿漕。あの手この手をつくして観客に世界観を叩き込む。 お蔭でもう一人の主人公であるイチゴが登場し、本題が始まるときには、すっかり物語の内側に捕えられてしまっていた。 その辺りが原作未読者としては、原作パワーによるところかのかはわからないけれども、ともかく映像に圧倒されたことは事実。 キッチュな映画だと受け取ることも、おバカ映画と受け取ることもできる。 ここまでならやってもO.K.というメータを完全に振り切ってしまっているので、ある意味、勉強になった。 いやはや、いい映画っすよ。 この主役をやり遂げた深田恭子はエラいと思う。エラいことだよ、実際……。 『下妻物語』(2004) 監督・脚本:中島哲也 プロデューサ:石田雄治/平野隆/小椋悟 音楽:菅野よう子 出演:深田恭子宮迫博之阿部サダヲ小池栄子荒川良々本田博太郎土屋アンナ篠原涼子岡田義徳矢沢心生瀬勝久福田麻由子樹木希林 原作:嶽本野ばら
下妻物語公式サイト