稲元おさむ『仮面ライダー響鬼 明日への指針』
指針と書いてコンパスと読むべし。
基本的には、TV『仮面ライダー響鬼』のノベライズ。
高校受験という人生の岐路に立たされた明日夢少年が、鬼に変化し異形の者どもと戦うヒビキに出会い、迷いながらも一歩ずつ前進していく。そんな話。
内容的には、一之巻「響く鬼」から六之巻「叩く魂」までを、エピソードを追加しつつ、主に明日夢少年サイドからフォロー。
テーマが受験に対する明日夢の悩みに絞られているので、『響鬼』の物語としては途中だが、一個の独立した物語と解釈することも可能。
多少、視点がバラけて読みにくい部分があったのと、戦闘シーンの描写がわかりづらかったこと(まあ、あまり小説でやる意味もないですし)を覗けば、全体的には読みやすかったかな?
番組特有の固有名詞などはもう少し噛み砕いてくれても良かったかも知れない。
番組上でフォローしきれていない裏設定的な部分の補足がちゃんとあったので、副読本としてもちゃんと機能しているところが良かった。
すっきりとした挿絵も好感。普段、小説の評価に挿絵は含めないのだが、これは悪くない。
できれば、このまま続刊して、本来語るべき『響鬼』の物語がどう進むはずだったのか、その先へ導いて欲しいものだ。
ソノラマ文庫『仮面ライダー響鬼 明日への指針』(朝日ソノラマ)
作:稲元おさむ
原作:石ノ森章太郎
ISBN4-257-77057-0