機動戦士Ζガンダム A New Translation II 恋人たち
バタバタしていたために感想が遅くなってしまった……。
この作品は、ひとつの映画作品としてとらえるか、連作もののパート2としてとらえるかで、若干、評価が変わってくる作品といえる。
良い悪い、というふり幅の話ではなくてね。
さてさて、この映画を観るにあたって期待していたことが、実はひとつだけある。
前作の感想で「キス」のことを述べているので、そのことか? ……と思うかもしれないがそれはまた別問題。たしかに、期待してたほどキスシーンがなくて、もっとチューチューやってもらいたいなぁ、とは思ったけど……。
そのことではなくて──。
前作においてカミーユそっちのけで、アムロとフラウ、アムロとシャア、ハヤトとカイといった『機動戦士ガンダム』のキャラクタたちを必要以上にピックアップしていたことから、必然的に第二作目では、ベルトーチカ・イルマという人格にクローズアップしてくれるのではないか(してほしいなぁ)と思っていたのだ。
そしたら、ベルトーチカの見せ場は最初のランデブーだけでおしまい。かなり拍子抜けだった。
ベルトーチカとアムロの『恋人たち』な部分が見えていれば、カミーユがフォウに言う「傷を舐めあってるんですよ」の台詞も活きたと思うのだが……。
だから、『I』あっての『II』──という風にシリーズものとして見ると、ややちぐはぐな印象だ。
また、この映画はサラ・ザビアロフのための映画、と捉えることもできる。
実際、エピソードの取捨選択を見るに、そんな感じだ。
だが、これをサラ・ザビアロフを主人公格とした独立した作品、ととらえるには少々弱い。
その切り口で『Ζガンダム』という作品にアプローチするという発想自体は大変面白かったので、ここでそのネタを使ってしまったことが少々惜しまれる。
また、サラの出番が多いにもかかわらず、キャスティングに本職の声優ではない池脇千鶴を当ててしまっているので、彼女の発声の甘さが目立ってしまっていた。これはタレント的にもマイナスになってしまうので、少々、かわいそうだった。
旧画と新作カットとの対比については、二作目ということでいいかげん慣れたので、言及の必要はないだろう。
フォウ関連はそんなに思い入れはないため、特にこれといった感想はない(サイコガンダムのコクピット内でのカミーユの吐露のシーンはPlaystation用『機動戦士Ζガンダム』内のムービーがオススメ)のだが、ベン・ウッダーがおいしくなっていることに少々ウケた。
……なんて、いろいろな感想が観ている間に浮かんできてはいたのだが、最後に白いガザC(!)が出てきて、ハマーン・カーンの声を聞いた瞬間に血液が沸騰して、すべてがどうでもよくなってしまった。
──騙されてる?
でも、榊原ボイスは破壊力があるよ。あの北爪まんがをスルーしてしまうほど麻痺しかけていた脳が正常に戻ったもの……。そういう意味ではマウアー・ファラオのキャストを変更したのは正解か。
次回作のサブタイトルは『星の鼓動は愛』だそうで……文章だ。
『機動戦士Ζガンダム A New Translation II 恋人たち』(2005)
原作・脚本・絵コンテ:富野由悠季
プロデューサ:松村圭一(サンライズ)/久保聡(バンダイビジュアル)
音楽:三枝成彰
テーマ曲:Gackt
出演:飛田展男/池田秀一/古谷徹/鈴置洋孝/白石冬美/潘恵子/ゆかな/池脇千鶴/井上和彦/岡本麻弥/檜山修之/西村知道/キートン山田/島田敏/榊原良子/小杉十郎太/勝生真沙子/川村万梨阿/浪川大輔/新井里美/浅川悠/中村秀利/大塚芳忠/林真里花/田中和実/西前忠久/石井康嗣/拡森信吾/塩屋浩三/大川透/柴本浩行/望月健一/上田敏也/津田匠子/夏樹リオ/田中一成/相田さやか/沢村真希/矢部雅史/三川二三
総監督:富野由悠季