カタチナイモノ

きっと僕はあの時、粉々に砕けてしまって、
今ここにあるのは抜け殻なのだろう。
それでも今、こうやって自身を
セーフモードで立ち上げて
世界と折り合いをつけながら歩いている。
砕け散った欠片は霧散して、
跡形もない。
いっぱいいっぱいのくせに
他人の悩みに尽力しようとしてみたり、
信用を得ようとしてみたり。
どうやら、生きるってことの大半は
セーフモードでなんとかなるらしい。
じゃあ、失ったのは何だ。

いつか巡り来る続編に。
多分墓まで引き摺る形ないものとともに。