花園

花園メリーゴーランド』を読んだ。

柏木ハルコの作品は、エロティシズムの中に
血に含まれる本音のようなモノが含まれていて
嫌いではないのだが、連載を立ち読みでつまみ読みしていた
だけだったので、澄子と相浦君が最後、どうなったのか、
僕は結末を知らなかった。

点が線になる。
3年という熟成期間を経て、印象の外郭が変質しつつあったモノに
中身が放り込まれる。

なるほど。
こういう話だったのか。

簡単に言えば、
旧時代的なムラの因習と現代的貞操観念との
ギャップに翻弄される少年と少女の話である。
因習とか民俗とか信仰なんて言葉が大好きな身であるから、
元々はそこに惹かれていたのだが、
そこをとっぱらってみると、澄子サイドからの
葛藤が見て取れるようになる、ということに改めて
気づいた。

作中に相浦君以外の内面描写がないので、
一見、理解しがたいように思っていたが、
通しで読んだら、結構、ストレートだったのね。

倫理観・貞操観念の違いだけで
戦争を起こせる僕らである。
二人が恋した時点で、それは
悲劇だったとしかいいようがない。

そういえば、僕は『いぬ』の結末も知らない。
そのうち読んでみようと思いつつ、数年が経った。
また数年経つかもな、と思いつつ、
そのうち読んでみよう、という言葉で括ることにする。