予習

ごくごく当たり前の話ですが『D.C.II〜ダ・カーポII〜』は『D.C.〜ダ・カーポ〜』の続編です。 ですから、『D.C.II P.S.〜ダ・カーポII〜プラスシチュエーション』が発売される前に、予習として『D.C.〜ダ・カーポ〜プラスシチュエーション』『D.C.the Origin〜ダ・カーポ〜ジ オリジン』をプレイする方も少なくないかと思います。 では、「『D.C.II』は何の後継作なの?」……という話になると、ちょっと考えちゃいますね。 「『D.C.』の後継作って何?」という問いには、MOONSTONEさんの『Gift』minoriさんの『ef - a fairy tale of the two.』を挙げる方も多いと思います。僕がサーカスさんとお仕事をするようになった頃には、前作『D.C.』のディレクションや原画を手がけた方々はすでにいらっしゃらなかったので、『D.C.II』のお仕事を受けるにあたっては、「『D.C.』とは何ぞや」という部分を紐解くところから始めました。それももう2年以上昔の話なんですね……。 話は逸れてしまいましたが、『D.C.II』は何の後継作か、という話です。 どこに着目するかによって、その解答は違うとは思いますが、僕が選ぶとしたら……ということで二本のPlayStation 2用ソフトを紹介したいと思います。 まあ、ここに訪れる人ならほとんどの人が知ってるとは思いますが。 『ホームメイド〜終の館〜』プリンセスソフト 僕が初めてサーカスさんとお仕事をさせていただいた作品であるCIRCUS FETISH『ホームメイド-homemaid-』のPS2版です。 大戦後、埼玉が英国の領土になってしまったという設定の英国領彩玉において、上流階級(貴族じゃないよ)の少年と、メイドサーバントになることを志す少女たちが恋をする、という内容の作品です。メイド養成学校という設定を作るためだけに、戦後の世界史をまるまる塗り替えているという、ある意味意欲作。 すでにプロットやら設定やらが決まっている段階から参加し、メインライタとして、共通ルートの執筆と全体のシナリオの統括をさせていただきました。 メインの原画家として、『D.C.II』では小恋、ななか、麻耶、茜、まゆきなどの原画を担当しているちのちもち氏が参加しています。ちの氏と初めて組んだ作品、ということもできますね。雨野智晴氏と一緒に仕事をしたのも、この作品が初めてです。 短編シリーズである『終の館』で悲劇的結末を迎えたヒロインたちが、現代に生まれ変わって幸せになる、というコンセプトで作られた作品なので、基本的にハッピィエンド志向の作品ですね。 PS2版の移植作業自体には関わっていないのですが、この作品に『D.C.II』のルーツを求める、というのもアリだと思います。 主題歌、挿入歌、エンディングを橋本みゆきさんが唄ってらっしゃる、というのも『D.C.II』のルーツを知る上では重要な要素かもしれませんね。 『舞-HiME 運命の系統樹』マーベラスインタラクティブ TVアニメ『舞-HiME』と世界観を共有する恋愛ADVです。メディアごとにストーリィ展開が違う、というコンセプトで作られているので、アニメ版ともコミック版とも違った展開になっています。 この作品には、企画会議の段階から参加させていただくことができました。僕は深優・グリーアのシナリオを担当させていただいているのですが、小恋・ななかのシナリオなどを手がけた望月JETさんも、この作品には参加しています。 また、美袋命の原画としてちのちもち氏が参加しているのですが、ヒロイン以外にも複数のサブキャラの原画を担当されているので、見た目的にも『D.C.II』に近いものを感じるかも知れません。 ただ、この作品は『D.C.II』とは違い、「あちらを立てればこちらが立たず」的な取捨選択をプレイヤに強いる作品なので、どの結末もハッピィエンドとは言えません。そういう意味では、『D.C.』より『アズラエル』に近い作品なのかもしれませんね。 ちなみに、このゲームのエンディングテーマは美郷あきさんが唄ってらっしゃいます。 『D.C.II P.S.』発売まであと二ヶ月半。 『D.C.P.S.』のアフタストーリィであり、雨野智晴氏がディレクションを担当し、たにはらなつきさんが原画を描いている『D.C.Four Seasons〜ダ・カーポ〜フォーシーズンズ』も『D.C.II P.S.』を語る上で重要なソフトですが、上記二作品も『D.C.II P.S.』発売前に「予習」としてプレイしてみるのもいいかも知れません。