報告

先ほど、東京に戻ってまいりました。

簡単に報告します。
去る10日未明、友人の女性が病のため他界しました。
周囲には死に至る病だということを知らせていなかったので、
僕らも寝耳に水だったわけです。
「具合が悪くて仕事を休み、自宅療養中」とは聞いていたので、
彼氏である後輩に「たまには四人で食事をしよう」などと
メールした、その日の晩、彼女は旅立ってしまいました。
最期は後輩の腕の中で息を引き取ったそうです。

彼女の実家は山梨だったため、
その後輩に付き添うという形で、泊りがけで山梨の石和温泉卿に赴き、
通夜および告別式に出席してまいりました。
実は石和温泉は、今年の頭に友人たちと行ったのですが、
まさかこんなことでまた来ることになるとは、夢にも思っていませんでした……。

山梨の葬儀の慣習は、僕らの知っていたものとはちょっと違いまして、
(事前に山梨の一部では、香典袋を使わず、裸のままお札を出すところも
ある、と聞いていたので、どうかなと心配していたのですが、
そこは普通に香典袋を使っていました)、火葬が先で、それから告別式というものでした。
最近は、人の繋がりは地元だけではない方も多いでしょうから、
葬儀だけに出席した方の中には、知らずに駆けつけて、
ご遺体に面会できなかった、という方もいるでしょう。
……ショックを受けていないか、ちょっと心配です。

それにしても、また自分より若い人の骨を拾うことに
なるなんて……。やりきれません。

普段は素の自分を保っていられるので、普通に談笑したり、
冗談を言い合ったりできるのですが、
ことあるごとに涙が止まらなくなり、また落ち着いて普通になり、
涙ぐむお父様を見て、遺体を見つめる後輩を見て、
生前の彼女を思い出して、次々にやってくるキッカケで号泣し、また落ち着く、
……というサイクルが延々と繰り返されます。
泣くというのは体力を消耗します。家に帰ってきて、自分がどっと
疲れていたことに気付きました。

滞在中、親族の方々には、食事を用意していただいたり、
宿泊場所を手配していただいたりと、ものすごくお世話になりました。
本当、皆さん、ありがとうございました。

何故彼女が死ななければならなかったのか、今でもわかりませんし、
冥福ってなんだよ、っていうのもわかりません。
ただ彼女がもう戻ってこないことだけは事実です。
この世というのが、いかに理不尽なものなのか、あらためて思い知りました。

僕は悲しいですが、元気です。
淋しいですが、大丈夫です。なので僕の心配はしなくて平気です。
僕より何倍も何百倍もショックな人がいるので、その方々の力になれたらな、と
思います。それが故人の供養になるのかな、と。

全てが終わった後、
ご遺族の方々と別れを告げ、石和名湯館「糸柳」というところで、
温泉につかって疲れ切った身体を癒し、近くの「そば切り いしやま」というお蕎麦屋さんで
蕎麦を食べ、特急で東京まで戻ってきました。

糸柳、良かったですよ。たった1000円払っただけの立ち寄り客を
まるで神の如く扱ってくれましたし、タオルから何から用意してくれました。
ただそれだけのことなのに、憔悴しきった心に温かく染み入った……。
今度、宿泊しに来ようと思えるくらい。
いしやまのお蕎麦もとても美味しかったし。
……なので、これが普通の旅行だったら、どんなに良かったかと
何度も思いました。