スーパー戦隊199ヒーロー大決戦

個人的に団塊ジュニアっていうのは、「ウルトラマン仮面ライダーに見捨てられた最初の世代」なんじゃないかと、常々思っている。

1975年に『ウルトラマンレオ』と『仮面ライダーストロンガー』が終了し、シリーズに一区切り付いてしまったせいで、1971年の暮れに生まれた僕にとって、ウルトラマン仮面ライダーっていうのは、物心ついた時点ですでに「レジェンド」だったわけだ。

映像ソフトが出回っていなかった当時、僕らは過去の文献をあさる文献考古専攻の学生のように、スーパーヒーローの百科事典を読みあさり、再放送を待ち、彼らの活躍の歴史を紐解いていった。

思うにライダー&ウルトラマン不在のこの時代は、シリーズものではない単発ヒーロー、あるいは短期シリーズの宝庫だった。群雄割拠だったと言ってもいい。

この頃に僕が好きだったのは、『宇宙鉄人キョーダイン』、『大鉄人17』、『小さなスーパーマン ガンバロン』、東映版『スパイダーマン』、『恐竜戦隊コセイドン』とかなりバラエティーに富んでいる。

そんな中、『秘密戦隊ゴレンジャー』、『ジャッカー電撃隊』の「戦隊」という要素と、和製スパイダーマンの巨大ロボット(レオパルドン!)に搭乗するという要素を受け継いで、『バトルフィーバーJ』という番組が始まるとともにスーパー戦隊の歴史が始まった。

ジョーニアスやスカイライダーより先に、彼らはやってきたのだ。

バトルフィーバーJ』、『電子戦隊デンジマン』、『太陽戦隊サンバルカン』、『大戦隊ゴーグルファイブ』と熱中して観て、次の『科学戦隊ダイナマン』あたりから徐々に離れていった口だが、中3になって部活動がなくなると、また戦隊熱が過熱し、当時放映していた『超新星フラッシュマン』(と『機動戦士ガンダムΖΖ』)に大ハマりしたのを覚えている。

僕らの年代にとって、人格が形成されて行く中で割と大事な位置にいたのが、初期スーパー戦隊だったのかも知れない。

後にルーツであるゴレンジャーとジャッカーをも正式にシリーズに組み込んで、スーパー戦隊は、インターバルを開けることなく現在まで続いている。ある意味、驚異のシリーズだ。

そんなわけで、あまりに長く続くシリーズなので、人によって観ていた戦隊、好きだった戦隊、思い入れのある戦隊は全然違うことだろう(ちなみに、大人になってからハマった戦隊は『特捜戦隊デカレンジャー』だった)。

そんな中、始まった『海賊戦隊ゴーカイジャー』は、「あらゆる世代ホイホイ」の作品だ。何しろ、宇宙海賊である彼らは、過去の戦隊の力を利用し、いつでも違う戦隊に変身できるのだから。

そのゴーカイジャーが、今まで登場した全てのスーパー戦隊と共演する大反則の映画『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』が6月11日から始まった。

さすがに入籍記念日にゴーカイジャーもないだろうから、ってことで、一週間が経過してから新高島にある109シネマズMM横浜に行ってきた次第だ。

ゴーカイジャー第一話で語られたレジェンド大戦のゴセイジャー視点からの補強、そして、テレビシリーズでは語られないゴーカイジャーゴセイジャーとの絡み、それから、かつてないほどの過去の戦隊からのオリジナルキャストのゲスト出演などなど。話題になって余りあるほどの映画だ。

実際、6月11日封切り映画の中では、『X-MEN:ファーストジェネレーション』や『星守る犬』、『さや侍』を抑えて、『パイレーツ・オブ・カリビアン』に次ぐ2位の成績をおさめ、現役の子供と、かつて子供だった大人、両方の取り込みに成功している。前回の『天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー エピックON銀幕』との興行収入対比は253.2%だっていうから恐ろしい。

肝心の内容だが、レジェンド大戦の掘り下げはなかなかだった。

さすがに全員の戦士を登場させることは不可能だが、吹き替えの役者たちの後姿を見せることによって大戦後の空しさが表現されていたように思う。

ゴセイジャーゴーカイジャーとの絡みのパートは、いつもの「VSシリーズ」と大差ないノリなので、特筆すべき点はこれといってなかったように思うが(それより、他のレジェンドたちとゴーカイジャーの絡みが見たかった……)、父親からもらったダイデンジンの超合金を大事に持っている子供と、「我が家」の坪倉扮するサラリーマンが所持してるバリブルーンのくだりはとても良かった。

坪倉はゴレンジャー世代じゃないと思うけどね。

ダイデンジンとバリブルーンは、彼らのモノだけど、残りのロボが誰のものなのかは描写されず。

多分、映画を見てるお父さんとかが、「あのロボは多分、俺が昔持ってたおもちゃが駆け付けたんだ」とか思っちゃってるんだろうな。思わせたら成功、みたいな。

レジェンドたちに関しては、デンジブルーこと大葉健二がいい味を出していた。

バトルケニアにも出て欲しかったけど、あんぱん大好き青梅大五郎を見て、やっぱりデンジマンは偉大だなぁ、と思ってしまった次第。

ウメコこと菊地美香はちょっと顔がパンパンで驚いた。

普通に演技しているときはいいけど、あのアップの長回しは微妙にショックだったなりよ。

千明と源太は相変わらずな感じだった。

ちなみに、この映画、テレビシリーズの16話と17話の間の話として位置づけられている。

が、映画の方が撮影が先だったみたいで、すでに衣替えして夏の装いになっているテレビと違って、衣裳が元々のものだって(一応、16話のラストで衣裳を合わせてるけどね)いう点と、あと一個だけ、気になった点があった。

序盤でゴーカイジャーがインサーン&バリゾーグと戦うシーンがあるのだが、バリゾーグと対峙した状態のジョーが普通だったのがちょっと……。まあ、しょうがないんだけどね。

そんなわけで、映画は大筋で楽しめた。

公開映画館が思いのほか少なくて焦ったが、東急沿線在住者は池袋に行くより、新高島に行く方が気楽だってわかったし、そういう意味でも行って良かったと思う。

映画を見るまで先週の17話は観ないと決めて封印していたので、帰ってきて、夕食を食いながら解禁。

ゴーカイシルバーの登場を見届け、夜は「SmaSTATION!!」のスーパー戦隊特集を観る、など昨日はスーパー戦隊づくしの一日を過ごさせてもらった。

『レッツゴー仮面ライダー』の時の『お願いランキングGOLD』もそうだったけど、まあ、こういう番組で紹介される「秘密」は大体、知ってることだよね。でも、楽しいからいいけど。

ただ、不満を言うなら、こういう特番をやると、大抵「ダイナマンからフラッシュマンまで」ってスルーされてしまうんだよね。

出渕裕がガッツリデザインに参加してた好きなシリーズなのだし、周囲でもこの辺の作品のファンは多いんだけど、一般的な特徴が見出しづらいのか、どうも飛ばされてしまう。

科学戦隊ダイナマン』以降、ダークナイトのようなヒーローと見紛うばかりの「かっこいいライバルキャラ」が恒例となり、『超電子バイオマン』から女性2人のメンバー構成が採用され、『電撃戦隊チェンジマン』で、必殺技に合体バズーカが採用され、『超新星フラッシュマン』で、初めて2号ロボットが登場する、という進歩の歴史があったんだけどね。

『199ヒーロー大決戦』の映画本編でもチェンジマンフラッシュマンは一瞬だったし、ちょっと、フラッシュマン信者としては不満が残る一日だった、という面もあるのかも知れない。

大筋では満足な一日だったけどね。

そもそも「フラッシュ、宇宙の超新星!」って歌詞、フラッシュマンを何一つ言い表してないから、その時点で特徴を説明しにくいのかも知れないけどね。

……危険の意味なんて、忘れたのさ。

ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』

監督:竹本昇

脚本:荒川稔久

特撮監督:佛田洋

出演:小澤亮太山田裕貴市道真央清水一希小池唯千葉雄大さとう里香浜尾京介にわみきほ小野健斗大葉健二/和田圭市/菊地美香坪倉由幸杉山裕之谷田部俊(我が家)/中村咲哉/藤巻碧一/松中みなみ/横田美紀/鈴木勝吾/相馬圭祐逢沢りな高橋光臣佐藤健太/坂元亮介/荻原佐代子/春田純一/宮内洋誠直也 ほか

声の出演:関智一田村ゆかり小西克幸沢木郁也野島裕史石井康嗣井上喜久子/進藤学/飛田展男梁田清之大塚明夫神谷明磯部勉稲田徹小川輝晃大塚芳忠

『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』公式サイト

≪追記、というかどうでもいい蛇足≫

ちなみに熱中したのは『大戦隊ゴーグルファイブ』までと書いたが、ゴーグルファイブが開始した時点で、実は戦隊熱は一旦冷めかけていた。

が、その年の春に弟たちと一緒に「東映まんがまつり」を見に行ったことで、熱が持続したんだよね。

その年のまんがまつりで併映されたアニメ映画『アラジンと魔法のランプ』がもう一度観たいと思ってるんだが、あれってどこかで観られないものなのだろうか?