模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG
先日、DiXitという海外ゲーム(ドイツ年間ゲーム大賞2010受賞作品)をやるために仲間内で集まったのですが、その際、ライタ仲間の横弥真彦氏から『機動戦士ガンダムUC』の第三話と、『模型戦士ガンダムビルダーズ ビギニングG』のブルーレイを借りたんですよ。
実を言えば、『機動戦士ガンダムUC』の第三話は、3月11日に劇場に観に行く予定だったのですよ。
でも、その日、相方が風邪をひいてしまったため予定をキャンセルしたんです。直後に震災があり(キャンセルしないで出掛けていたら、その日は家に帰れなかったかもしれない)、結局、その後のバタバタもあってスクリーンで観られなかったので、今回、貸してもらったわけですが、その際に、以前から興味のあった『ガンダムビルダーズ』も借りたというわけです。
『ガンプラビルダーズ』はガンプラ(ガンダムのプラモデル)30周年を記念して制作された
アニメ作品で、とある少年が父親に連れられて、お台場で実物大ガンダムを見たところから物語が始まります。
そこで初めてガンダムに触れた少年は、記念にプラモデルを買おうとしますが、いわゆるRX-78「ガンダム」の最後の一個が目の前で買われてしまいます。そこに落ちてきた誰も見たこともないガンダム「ビギニングガンダム」の箱。そのガンダムとの「出会い」をきっかけに、少年は初めてガンプラを作成します。
その後、作ったプラモデルをスキャナで取り込んで解析し、バーチャルリアリティーのコクピットで戦って遊ぶ「ガンプラバトル」という遊びを通じて、少年の成長が描かれるわけですが、まあ、これは言ってみれば『プラモ狂四郎』の世界を公式でやってしまおうというものでしょう。
笑ったのが、最初の戦闘の時のバトルフィールド。
背景に富士山が出てきたのは単に「日本」を象徴する背景かと思ったら、空を飛ぶビギニングガンダムに地上からの砲撃。
初心者ゆえに、どこから攻撃されているかわからなくて混乱する主人公に対して、彼の友達が警告します。
「山だ、山! 日本平!」
……日本平、だと?
「にほんだいら」という単語を聞いて一瞬で「山」を想像できる人間は、おそらく静岡人、あるいは静岡に所縁のある人間だけでしょう。
よく見れば地上には三保半島……。
そう、ビギニングガンダムは清水上空を飛んでるんです。
そして、日本平パークセンタ(ロープウェイ乗り場)の前から、旧ザクスナイパータイプが射撃しています。思わず吹き出しました。
その後、戦いはバンダイホビーセンタ(静鉄の長沼駅前)にうつり、その裏のゴルフガーデンのネットにHi-νガンダムが絡まる、なんて描写も出てきます。
まあ、これは作中のバトルフィールドに再現された静岡市街ですが、物語自体も静岡が舞台のようです。
主人公のお父さんは、実はバンダイの社員(それを子供が知らないのか?)で、実際にホビーセンタに勤務しているし、少年相手に、大人げなく最終的なライバルとして立ちはだかるシャアみたいな人も、馬に乗って(!)、このバンダイホビーセンタに出入りしてます。
いや、たしかに馬は道交法的にもOKだけどさ……。いいのか?
物語の最後も今年の頭まで東静岡の駅前にあった実物大ガンダムの前で終わるので、ホントに「静岡」作品でした。つっこみどころ満載の。
まあ、ガンプラ──というかプラモデル自体が、静岡の特産品(?)ですし、久能山東照宮にすらガンプラは奉納されてますからね。
いいんですけど……。
いや、これはちょっと、借りて観ちゃったけど、買った方がいいんじゃないか?
観たいな、とは思っていましたが、今までノーチェックだったことを後悔。
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』が始まった時、アニメの舞台が秩父だったために、ヨモやグッチ(秩父出身のうちの劇団の座長と役者)が騒いでるのを見て、「『ちびまる子ちゃん』は清水が舞台なのに全然、清水っぽくない……」と思っていたのですが──
僕たちが結婚式を挙げた山(実際、紋付袴&白無垢で親戚一同引き連れてスナイパー旧ザクのいた場所からロープウェイに乗りましたw)でモビルスーツが戦ってるんですよ?
笑うしかないです。
しかも、ガンプラバトルとはいえ、戦いの描写はかなりガンダムでした。
プラモデルであるが故に、通常の映像作品では実現しえないバトルとかもあって面白かった。
デンドロビウムに対抗して、「ザク・レロ」の口にザクが入ったモビルアーマが出てきたりとかね。
また、破壊されるときは、肩のパーツがはずれたりする演出があって、そういう意味では紛うことなきガンプラ作品でした。
他にも、アニメ上で動くズダが見られたり、フォーエバーガンダムの僚機がブルーディスティニーとケンプファーだったり、ビギニングのIフィールドにフォーエバーがガンダムハンマー(!)で対抗したり……などなど見所は沢山。
特典映像には、バンダイのガンプラ工場の様子も収録されてるし、いやはや、これDVD版買って、甥っ子にプレゼントしようかな?
監督:松尾衡
脚本:黒田洋介
キャラクタデザイン:寺田嘉一郎
メカニックデザイン:大河原邦男/重田敦司/海老川兼武/阿久津潤一
出演:代永翼/岡本信彦/伊瀬茉莉也/浪川大輔/神谷浩史/入野自由/成田剣/高橋広樹/遠藤綾/武虎/木村亜希子/小野友樹/金元寿子/田村睦心
プロデューサ:松村圭一(サンライズ)/桑園裕子(バンダイビジュアル)
企画・製作:サンライズ