TGSとGREEとグランゾート

東京ゲームショウ、行った人も多いかと思います。

先日の「ニンテンドー3DSカンファレンス」および「SCEJ Press Conference」を受けて、どんなニュースが飛び込んでくるかな〜なんて期待していたのですが、テレビニュースに映った映像で観る限り、「GREE」などのソーシャルゲームや、スマフォのゲームアプリに関するものが多そうな印象でした。

Twitterでも、実際に行った人からそんな感じのレスを受けましたし。

ちょっと複雑な気分ですよね。

僕だってGREEやモバゲーで時折、遊んではいますし、遊び方が変わりつつある、とはいえ、あの手のソーシャルゲームでは、「俺、中学校の頃にドリランドやって感動してさ、人生変わったんだよね」「これこれ、なつかしー。今やっても面白いなぁ」って話はでないと思うので(苦笑)

飽きては辞め、飽きては辞めて次のゲームにいくソーシャルゲーとパッケージされたゲームソフトとを同列に語ってはいけないのですが、なんかちょっと脳内がぐるぐるしました。

中毒性はあるけど、何も残らないのがソーシャルゲーム。まあ、そこが売りなんですけどね。

気軽に始められる反面、本気でやろうとすると、最終的には課金で普通にゲーム買うより高くついたりして。ガチャ一回300円とか、「皆、大丈夫?」とちょっと心配になってしまいます。

……なんて思って本屋に寄ったら「ファミ通GREE」なんて雑誌が出てて、いや、まあそりゃ出るだろうけど、なんか「およよ」と思った次第でございます。

そんな中、こんなニュースが舞い込んで来ました。

GREEの社長、田中氏に関するニュースです。

グリー田中社長「あるゲームが流行ったら、同じようなものを作りまくるべき」(ニコニコニュース)

一見、問題がある発言のようにも見えますが、実は意外とまっとうなことを言ってます。

実際、最近プレイした「乱世あやかし絵巻」、「探検ドリランド」、「仮面ライダーウォーズ」、「ガンダムマスターズ」、どれも基本的なルールは同じです。

カードを引いて、そのカードを育てていく。いらないカードを合成し、必要なカードを強くする。そして先へ先へと進んでいく。

個別要素はありますし、キャラも違いますが、ぶっちゃけコンセプトは「同じ」です。

つまり内容のパクり云々ではなく、ゲームフォーマットの話をしているわけです。

インベーダゲームが流行った後、雨後の筍のごとく、左右に自機を動かして、何かを撃ってやっつけるゲームが出てきました。

ギャラクシアンギャラガといった名作はインベーダなしでは完成しません。上下左右動けるようになって、スクロールして、ゼビウスタイプのゲームに発展していくわけです。

1982〜83年頃のパソコンでアドベンチャゲームブームがあって、1984年頃にロールプレイングゲームブームが来ました。それから2年遅れくらいでブームがファミコンに飛び火しましたが、その間、似たフォーマットのゲームがやはり雨後の筍のように出まくりました。

対戦格闘しかり、恋愛アドベンチャゲームしかり。背景、キャラの立ち絵、ウィンドウ、恋愛要素などの要素を踏襲してきたからこそ、ギャルゲバブル、エロゲバブル的なものが発生したのでしょう。

追随作があってはじめて「ジャンル」として確立するわけですし、その中での切磋琢磨があって、ジャンルの発展もあるのです。

ですから、言い方はともかく、言ってること自体は実は間違いではない。

間違いじゃないんだけど──その根拠である、「子供の頃、アニメ『魔神英雄伝ワタル』が大好きだったが、作者は次に全然別のアニメを作って大コケした。けれどその後、『魔神英雄伝ワタル2』が作られ、爆発的にヒットした。作者はのちに雑誌で『次のアニメにいくのは早すぎた』と回想されていた」という言葉には引っかかりをおぼえるわけです。

全然別のアニメとは『魔動王グランゾート』のことですよね。

当時、小中学生だったであろう件の社長が、どう世の中をとらえていたかはわからないのですが、グランゾートは別に「大コケ」はしていないし、ワタル2もさすがに「爆発的に」はヒットしていないわけです。

グランゾートは好きだったし、気になったので当時の視聴率を調べてみたのですが、

*魔神英雄伝ワタル

 最低2.3%(第1話)・最高7.7%(第33話)・平均4.70%

*魔動王グランゾート

 最低3.6%(第15話)・最高8.5%(第34話)・平均5.21%

*魔神英雄伝ワタル2

 最低2.2%(第18話)・最高7.8%(第1話)・平均4.57%

資料の信憑性がどこまでなのかはわかりませんが、数字を見る限り、グランゾートは好調なわけです。

話によれば、オモチャ(プラモデル)の売り上げが悪かったとか。

どうやらメインターゲットよりも年上の層に人気が出て、子供向けのオモチャに不良在庫が大量に出たようです。

視聴率さえはじきだせばスポンサへの義理が果たせる通常の番組とは違い、オモチャをうる意義のあるアニメや特撮の場合、これは由々しき問題です。

その番組関係者の話をGREEの経営者が聞いて、「大コケ」と判断したのでしょう。

ただ、関連商品を売る業種ならともかく、コンテンツホルダとしてはちょっと認識が違ってる気もしますし、GREEでやってるフォーマットの踏襲はむしろ、ワタルからグランゾートへの踏襲モデルに近いので、社長の主張と現実は多少ズレているようにも感じるのですが、それでも、その「思い込み」でGREEを大きくしたんだから、田中社長は本物の経営者なのでしょうね。

ただ、「何で?」と思うタイミングでグランゾートが引き合いに出されたので、思わず反応してしまった人たちがネット上で続出してました。

先日の芦田氏の訃報(黙祷……)に涙した人も多いかと思いますが(かくいう僕も、追悼の意味を込めて、20年近く未見だった『冒険編』をバンダイチャンネルで視聴しました)、とりわけ「グランゾート」がここまでピックアップされ、話題になるのは稀なので、その一部をTogetterでまとめてみました。

【GREE】ワタルとワタル2の狭間で【グランゾート】(Togetter)

いやはや、どこかで言ったかもしれませんが『魔動王グランゾート』は学生の時分、結構、熱中して観ていた番組です。

スーパーアクアビートのプラモデルは、上京の際、実家から(『トイ・ストーリ3』的に言えば)「連れてきた」プラモデルなのです。

フラッシュマンガンダムΖΖ、それにグランゾート

今年は、昔好きだった作品を振り返る機会がたくさんあって、なんとなく……なんとなくね、いろいろ考えてしまいますね。

=追伸=

グランゾートに限らず、オーガスボルテスVデンジマンヤッターマンなどなど、所謂「続編」ではない「第二作目」「後継作」「踏襲作」に関しては、以前、この辺でも考えを少し書きましたが、そのうちがっつり考察したいなぁ。