ウルトラマンギネス

ここ最近は、個人的なウルトラブームの到来である。 どちらかといえば、普段は東映特撮に傾倒しておりウルトラ関係にはそんなに詳しくない自分なのだが、ここ最近はウルトラマンに心を奪われている。子供が生まれたからかもしれない。 まあ、その辺の顛末はそのうちじっくり書くとして、気になったニュースの話をば。 ちょっと前の話になるが、「ウルトラマンがギネス世界記録に認定された」というニュースを目にした。 『ウルトラマン』ギネスに認定 最も多く派生シリーズがつくられたテレビ番組ORICON STYLE 2013/09/12 13:20) 『ウルトラマン』がギネス世界記録「最も派生テレビシリーズが作られたテレビ番組」に認定!(TSUBURAYA STATION 2013/09/12) ウルトラマンギネス!67年セブンから27作、世界記録の派生シリーズ(スポーツ報知 2013/9/13 06:03) ウルトラマン : ギネスに認定 派生シリーズ最多で毎日新聞デジタル 2013/09/12) 根岸拓哉、「ウルトラマン」ギネス認定に喜び爆発SANSPO.COM 2013/09/13 05:02) 認定式にウルトラマンが集結!(GUINNESSWORLDRECORDSNEWS 2013/09/12) 「最も多く派生テレビシリーズが作られたテレビ番組」としての認定ということだったので、誰もが「ん?」と首を傾げただろうということは想像に難くない。 世の中にはいろいろなテレビ番組があるが、特撮番組という括りの中に限っても、ウルトラマンより多くシリーズが作られたものが思いつくからだ。 ウルトラマンの正統なTVシリーズと言える作品は、ウルトラマン、セブン、帰ってきた、A、タロウ、レオ、80、ティガ、ダイナ、ガイア、コスモス、ネクサス、マックス、メビウスと、意外に少なく14作品だ。ウルトラシリーズという括りなら、ウルトラQとか東映キャプテンウルトラを足せるかも知れないし、アニメのザ・ウルトラマンも立派なウルトラシリーズだが、それでも高が知れている。 一方、ウルトラマンのライバル番組として知られる仮面ライダーシリーズは、仮面ライダー、V3、X、アマゾン、ストロンガー、新(スカイ)、スーパー1、BLACK、RX、クウガ、アギト、龍騎、555、剣、響鬼、カブト、電王、キバ、ディケイド、W、OOO、フォーゼ、ウィザードの23作品(この時点では新番組である『仮面ライダー鎧武』は未放映)。 実際には、オリジナルビデオ作品や劇場版、深夜番組などもあるから、一概には言えないのだが、5年遅れて始まったライダーの方が明らかにシリーズは多い。 そんなこと言ったら、東映にはゴレンジャーからキョウリュウジャーまで連綿と続くスーパー戦隊シリーズだってある。あれは、現時点で37作品もあって、ウルトラの倍以上だ。 だから、多くの人がそうだったように、僕自身も例に漏れず「んん?」と首を傾げたのだが、あちこちの情報を見て、改めて記事を詳しく読みなおして合点がいった。 少々、記事を誤解していたようだ(記者が趣旨を理解していないのか、わかりづらい記事もあるが)。 まずギネスに認定されたのは、「ウルトラシリーズ」ではなく1966年に放映された空想特撮テレビ番組『ウルトラマン』である、ということ。 で、その『ウルトラマン』という番組に、ビデオ、単発、リメイクやサマリーを除く27の派生のテレビ番組シリーズが存在する(Most TV spin-off series)、ということで認定されたということだ。 ギネスの言う27作品は以下の通りだ。 「ウルトラセブン」「ウルトラファイト」「帰ってきたウルトラマン」「ウルトラマンA」「レッドマン」「ウルトラマンタロウ」「ウルトラマンレオ」「ザ・ウルトラマン」「ウルトラマン80」「アンドロメロス」「ウルトラマンキッズのことわざ物語」「ウルトラマンキッズ 母をたずねて3000万光年」「ウルトラマンティガ」「ウルトラマンダイナ」「ウルトラマンガイア」「ウルトラマンコスモス」「ウルトラマンボーイのウルころ ウルトラころせうむ」「ウルトラマンネクサス」「ウルトラマンマックス」「ウルトラマンメビウス」「ULTRASEVEN X」「ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル」「カネゴン KANEGON」「ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY」「ウルトラマン列伝」「ウルトラゾーン」「ウルトラマンギンガ」 なるほどね。 あくまで『ウルトラマン』という作品を根幹にして派生したテレビ番組シリーズということなので、アニメ作品やバラエティ的な番組でもいいようだ。 他にもテレビ番組としては、「怪獣大百科/大図鑑」「ウルトラM715/M730」などがあるが、これらはサマリーと判断されたのだろう。 「ウルころ」や「列伝」もサマリー的な要素は大きいが、ウルころにはウルトラファイト的な新撮パートがあり、列伝でも「ウルトラゼロファイト」などの新作を作っていたことで、サマリーから除外されたのだろう。 それでも、「レッドマン」がウルトラマンの派生かと言われれば首を傾げたくなるし、「カネゴン KANEGON」という作品は、ウルトラマンじゃなくて「ウルトラQ」からのスピンオフじゃないか、と思わなくもない。 まあ、「レッドマン」に関しては、ウルトラ怪獣を流用するという番組コンセプトだったためカウントに入ったのかもしれないし、「カネゴン KANEGON」という作品は、「ウルトラ情報局」というCS番組内のミニドラマなので、ウルトラマンの派生だと解釈されたのだろう。 つまり、27作品のタイトルは便宜上、上記の作品ということになっているが番組としては、 ・「カネゴン KANEGON」(=「ウルトラ情報局」) ・「ウルトラマン列伝」(含む「ウルトラゼロファイト」) ・「ウルトラマンギンガ」(=「新ウルトラマン列伝」) という感じで括られているのだろう。 であれば、アニメ化作品や情報バラエティ番組などを持たないライダーシリーズは不利で、根幹作品『仮面ライダー』が持っている派生作品は22作品に留まることになる。 難しいのがスーパー戦隊で、たしかに作品数は37作品と多いのだが、後続する36作品が『秘密戦隊ゴレンジャー』のスピンオフかと言われると、途端に首を傾げたくなってしまう。 そもそも、番組としてのスーパー戦隊シリーズは、(人によって解釈が違うとは思うが)1978年に東映が製作した和製『スパイダーマン』の流れから、和製アベンジャーズ的なヒーローとして誕生した『バトルフィーバーJ』に端を発しており、そのフォーマットの源流となったゴレンジャー、ジャッカー電撃隊といった石森作品を遡ってシリーズに組み込むというカタチで成立している。 「ゴレンジャーシリーズ」ではなく、あくまで「スーパー戦隊シリーズ」なのだ。だから、これらの作品群は『秘密戦隊ゴレンジャー』のスピンオフではないし、かといってバトルフィーバー以降の作品が『バトルフィーバーJ』のスピンオフであるとも言い難い。 つまり戦隊には、ウルトラマン仮面ライダーガンダムなどと違って、ギネスに登録すべき「無印」的な根幹作品が存在しないことになる。 この辺は、メタルヒーローシリーズは全部で17作あるが、第一作目である『宇宙刑事ギャバン』の派生作品は、シャリバンシャイダーの2番組だけだ、と書くと、すんなり入ってくることなのかも知れない。 もちろん東映さんが、「いや、スーパー戦隊シリーズは、ゴレンジャーの派生作品、言わばゴレンジャーシリーズなのです!」と公式で断言すれば、あっという間にギネスは『秘密戦隊ゴレンジャー』によって塗り替わるだろうとは思うけど……。 これがスーパー戦隊を下敷きにした海外の「POWER RANGERS」シリーズとなると話は別で、「Mighty Morphin Power Rangers」を根幹作品とした派生作品群に見えてくるから、イメージっていうのは大事なのかもしれない(あるいは単にタイトルの問題なのか?)。 ……とここまで書いておいて、「だったら根幹作品を『ウルトラマン』ではなく、その派生元の『ウルトラQ』ってことにすればいいんじゃないか?」などという、根本的な疑問が浮かばなくもない。 そうすれば、「ウルトラマン」自体も本数に組み込まれるだけでなく、「ウルトラQ dark fantasy」や「ネオ・ウルトラQ」なども含まれるのではないか、と。 でも、よくよく考えてみれば、「ウルトラマン」は「ウルトラQ」の派生作品ではあるが、セブン以降の作品は「ウルトラQの派生作品」ではなく、「ウルトラQの派生作品であるウルトラマンの派生作品」にすぎないのかも知れない。 ウルトラQはあくまでシリーズの始まりにすぎず、光の巨人と怪獣たちが織り成す物語群の根幹作品にはなり得ない、ということなのだろう。多分。 奇しくもウルトラマンと同時期の1966年に始まった『スタートレック』も歴史のあるシリーズではあるが、向こうのTVシリーズはシーズン制になっていて、何年も同じ番組が続くので、スピンオフ番組という括りだとアニメ版、ネクストジェネレーション、ディープスペースナイン、ヴォイジャーエンタープライズの5作品だけということになってしまう。 1969年に始まった『水戸黄門』も、役者を替えつつ、2011年の第43部まで放映されたけど、あくまで『水戸黄門』は『水戸黄門』であり派生番組ではないし……。 そういう意味では、「最も多く派生テレビシリーズがつくられたテレビ番組」というのは、かなりウルトラマンに有利な条件の項目といえるかも知れない。 ん、待てよ? ということは「大怪獣バトルNEO」は、「大怪獣バトル」の第二部ではなく、続編の新番組という扱いになるわけか。まあ、日本の番組の場合、時代劇や刑事ものなどの一部の作品以外は、「第二部・シーズン2」という名の続編(新作)として製作されるものな。 境界線はかなり曖昧だとは思うが。 ……疑問がいろいろ浮かばなくもないが、大筋では納得できたというところか。 あくまで自分自身を納得させるためだけの覚え書きだ、ということでご了承願いたい。 ともあれ、『ウルトラマン』ギネス認定、おめでとうございます! 今年は円谷プロ50周年ですし、今夏、あれだけ周囲を騒がせた『パシフィック・リム』の源流のひとつであるウルトラマンが評価されるのは、素直に喜ばしいことだと思います。ウルトラマンランド閉園という切ないニュースの直後だったからなおさら嬉しい。 息子がもうちょっと大きくなったら、いろいろ見せてあげようと、今からいろいろ画策しておきます。 参考ニュース 3連休はウルトラマン ギネス入りで人気日本経済新聞 2013/9/21 13:00) ヒーロー最後の勇姿 ウルトラマンランド閉園熊本日日新聞 2013/09/01)