ベイマックス

最近、『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』(この春から放映中の、『アベンジャーズ』を少年向けにアレンジした日本のホビーアニメ)が面白くなってきた。

アベンジャーズの紅一点「ワスプ」の役を、『D.C.II〜ダ・カーポII〜』シリーズで委員長こと沢井麻耶を演じてくれていた水橋かおりさん(最近でもドラマCD『おやすみなさいは一度だけ:いっしょに寝るの!』の冬バージョンに出演してくださいました)が演じているってこともあって、何となく毎週観ていたのだ(水橋さんの演技、好きなんです)が、第16話からのX-MEN編に突入してから俄然、面白くなってきたように思う。

ウルヴァリンセイバートゥースなど、それほどアメコミに詳しくない僕らにとってもお馴染みの面々が次々と参戦してくる中、新しい学校で知り合ったアキラ(主人公)のクラスメイトのノリコが、ミュータントの能力に覚醒してしまい、困惑したりして。

今までの能天気な世界観に、がっつりX-MENのバックボーンが重なってきている。

序盤の進行がゆっくり(丁寧?)だったこともあり、不満もあったのだが、ここにきて一気に続きが気になるようになってきた。

物語の舞台が途中から日本に移ったことや、ノリコなんて名前の女の子キャラが登場するなんてのは、日本向けにローカライズした結果のアレンジかと勝手に思ってたが、調べてみたらそんなことはなかった。

ノリコ・アシダは、正式に『X-MEN』に登場するキャラクタで、コードネーム「サージ」と呼ばれるミュータントなのだそうだ。ニューX-MENのリーダを務めたりもしているらしい。

日本人のティーンエイジャの少女でX-MENのメンバで……と美味しい設定のキャラを日本版アベンジャーズが放っておくわけないってことか。

同様に、未見ではあるが和製アニメ『エックスメン』では、コードネーム「アーマー」ことヒサコ・イチキ(作中の表記では市来久子。訳本などでは一木久子という表記も)がメインキャラの一人として登場するようだ。彼女もティーンエイジャーの女性日本人ミュータントっていう美味しい設定なので、放っておく手はないってことだと思われる。

そんな感じでマーベル作品には意外と日本人のヒーローやヴィランがいて、特に『X-MEN』では日本人ミュータントが結構いたりするみたいだ(それ以前に、把握しきれないほどのミュータントが登場するわけだけれども)。

考えてみれば、アーケードの対戦格闘ゲームX-MEN』でなんとなく使ってたサイロックも肉体的には日本の忍者カンノンだった。

実写映画だと、日本が舞台になった『ウルヴァリン:SAMURAI』以外では、あまり日本人自体が登場したような印象がないが、『X-MEN2』に登場したレディ・デスストライクが日本人という設定(本名:ユリコ・オーヤマ、ただし演じるのはハワイ出身で中国系の血も混じるケリー・ヒュー)のようだ。

日本人ミュータントで一番有名なのは、シルバーサムライ(本名:ケンイチロウ・ハラダ。ただし原語ではKenichiroではなくKenuichioという意味不明の表記w)かな。『ウルヴァリン:SAMURAI』ではハラダの設定がちょっと違っていたが、前述の『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』では主題歌を務めるTMさんこと西川貴教氏が声優として演じていた。

で、次に有名なのがサンファイア(本名:シロウ・ヨシダ)であるらしい。

んで、サンファイアとシルバーサムライは、後に日本政府が組織したヒーローチーム「ビッグ・ヒーロー6」に参入している(現在は、すでに脱退)。

この「ビッグ・ヒーロー6」、1998年に刊行された「サンファイア&ビッグ・ヒーロー6」での面子は、シルバーサムライ、ゴーゴータマゴ(本名:レイコ・タナカ)、ハニーレモン(本名:アイコ・ミヤザキ)、ヒロ・タカチホベイマックス、サンファイアの6名。

後にサンファイアの代わりに妹のサンパイア(レユ・ヨシダ)、シルバーサムライの代わりにエボン・サムライが参入。

2008年からの新シリーズ「ビッグ・ヒーロー6:Brave New Heroes」では、サンパイア&エボン・サムライの代わりに、ワサビ・ノー・ジンジャーとフレッドの二人が参入しているとのこと。

ビッグ・ヒーロー6の現行メンバを整理すると

 ヒロ・タカチホ:天才少年。

 ベイマックス:ヒロが作り出した人工生物。

 ゴーゴータマゴ:特殊なバトルスーツで戦う少女。本名:レイコ・タナカ。

 ハニーレモン:パワーパースと呼ばれる四次元ポシェットからいろいろな道具を出す。本名:アイコ・ミヤザキ。

 ワサビ・ノー・ジンジャー:寿司職人で二刀流の剣の達人。

 フレッジラ:赤い恐竜(日本だけにゴジラをイメージ?)のスタンド(?)を使う。北海道出身のアイヌ系だけど名前はフレッド。

……わかったような、わからないようなw

とにかくアメコミの訳本が手元にないので、確認のしようもない。

ちょっと読んでみたいな。

ともかく、そんな感じでサージからの延長でマーベルの日本ヒーローチーム「ビッグ・ヒーロー6」を調べていたら、タイムリィなことにディズニーがCG映画化することが報じられていた。

ただし、原題は「Big Hero 6」であるものの、邦題は『ベイマックス』

まあ、日本ではビッグ・ヒーロー6自体メジャじゃないし(日本のヒーローチームなのにね。まあ英国出身という設定のロビンマスクがUKで知られてるかって言うとそうではないわけだがw)、『シュガー・ラッシュ』の原題が「Wreck-It Ralph」、『アナと雪の女王』の原題が「Frozen」であることを考えれば、内容に即した邦題なのだろう、多分。

トレーラを参考にすれば、『シュガー・ラッシュ』や『アナと雪の女王』のクリエイタたちが制作にあたるようだ(特に『シュガー・ラッシュ』は面白かったな)。

映画では舞台は日本じゃなくて、サンフランソーキョー(サンフランシスコ×東京?)。

日本語版の予告編を見る限り、あくまで少年とベイマックスの心温まる物語って感じの告知にとどめており、今のところヒーローものの導入とはわからないようになっている。

メインの登場人物は、英語版Wikipediaのキャスト一覧によれば、ヒロ・ハマダ、ベイマックス、ゴーゴータマゴ、ワサビ、ハニーレモン、フレッド(実際の劇場版ではカナ表記のブレがあるかも)の6人となっているので、新シリーズのメンバが元になっているのだろう。

ヒロの苗字がハマダになっているのは、タカチホが一般的な苗字ではないからかな?(高千穂は地名だが、天孫降臨などを連想してしまうから、もっと普通の苗字にしたかったのかもしれない)

ともあれ、マーベルがディズニー傘下になったことで実現した、マーベルのジャパニーズヒーローものがディズニーCG映画になるという化合がどんな化学変化を起こすのか。

とりあえず、楽しみにしていよう。

上手くいけば「ビッグ・ヒーロー6」が、『ディスク・ウォーズ』の面々や『Mr.インクレディブル』などの面々と他メディア(ゲームとかテーマパークとか)で共演したりするかも知れないし。

マーベル日本人ヒーローズに栄光あれw

『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』公式サイト

『ベイマックス』公式サイト

追記:『ディスク・ウォーズ』といえば、X-MENたちとの関わり合いだけじゃなく、キャップの過去にも踏み込みつつあって見逃せない。

過去回想に登場するキャップの過去の相方であるバッキー(故人)の声が、岸尾だいすけさん(我らが杉並)だった。これは、バッキー実は生きてた&ウィンター・ソルジャー登場フラグかも知れない。こっちも期待してよう。