劇場版ウルトラマンギンガS 決戦! ウルトラ10勇士!!

去る3月14日、公開初日に劇場版『ウルトラマンギンガS 決戦! ウルトラ10勇士!!』を観に行ってきました。

封切りの概念がないうちの二歳児くんが、結構前からCMを見る度に「行こうね、行こうね」と言い続けていたので、行かざるを得ない状況でもありました(まだ始まってないよ、と言っても理解してくれないんですw)。

とは言っても、相方が子供を連れて16日から帰省することが決まってたので、14日と15日しか行ける日はなく、慌てて行ってきた次第。

土日は、各上映館にウルトラマンが登場し、握手会をやってくれるという話だったので、スケジュールを調べて、当初はブルク13に行こうと思っていたのですが、支度していたらギリギリ間に合いそうもなかったので、急遽プリンスシネマに変更。

14日はブルクだとギンガでしたが、プリンスシネマはティガだったんですよね。

でも、息子は劇場に入るなり「ティガだよ!」と指差して喜んでくれたので、結果はオーライです。

で、肝心の映画ですが、結論から言わせてもらえば行って良かった。

とても面白かったです。

前作『ウルトラマンギンガ』でも「劇場スペシャル」と題しての劇場公開があったのですが、ミニシアター扱いで、どちらかといえばイベント上映的な趣でした。

一作目の「劇場スペシャル」は面白かったのですが、二作目「ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!」はお世辞にも面白いとは言えず、劇場で唸ってしまいました。

でも、今回は久々に「映画」。しかも、大好きな『ウルトラ銀河伝説THE MOVIE』や『MOVIE大戦MEGAMAX』を手掛けた坂本浩一監督だというのだから、期待はしてました。

「私も行くの?」と最初は不承不承だった相方も『運命のガイアメモリ』の監督なら、と同行してくれましたよ。

ここ最近のウルトラ映画はレンタルで大体見たと思うのですが、劇場で観たのはといえば、先述の劇場スペシャルを除けば、実は『ウルトラマンゼアス2』(併映『ウルトラニャン』)くらいなんですよね。

子供の頃、映画『ウルトラマン』(実相寺昭雄監督作品)がどうしても観たくて、叔父に頼んで映画館に連れてってもらったけど、上映期間はとっくに終わってて『スーパーマン』の第一作を観て帰ったことならありますが……(もうちょい待ってれば『ウルトラマン怪獣大決戦』があったのにね)。でも、そのお陰で子供ながらに洋画『スーパーマン』を劇場で観ることができたんですけどね。その節はありがとう、叔父さん。

閑話休題。話をギンガSに戻しましょう。

内容はといえば、「ほぼ無い」と言い切ってしまっても問題ないでしょう。

超時空魔神エタルガーという悪役の奸計で、ウルトラマンに恨みを持ってしまった亡星の王女アレーナが、様々な時空を転移しては平成ウルトラマンたちを捕縛。やがてギンガのいる世界の地球にもやってくる。捕えられたコスモスから分離した春野ムサシが、UPGの面々に警告。そして、エタルガーたちを追って、時空を超えてやってくるウルトラマンゼロ……という「バックボーン」はあるものの、全編、小気味の良いアクションで構成されていて、ストーリィは特にひねりもなく王道中の王道、お約束のど真ん中をガンガン突き進みます。特訓、パワーアップ、勝利。でも、それが逆に心地好いの。

勿論、坂本監督なので素面のアクションもたっぷり。ヒカルやショウたちだけじゃなく、ムサシもくるくる回ってました(流石に吹き替えでしたがw)。

また、ヒカルたちが特訓で頑張っている間、他の隊員たちも、お化け、虫、野菜といった苦手なものを克服していくという試練がコメディ仕立てで演出されていて、子供的にも飽きなかったと思います。ただ、お化けはキョンシー、虫はカブトムシ、野菜はトマトなので、好きな子供も多いかもしれませんね(逆に、「僕怖くないよ、私食べられるよ」という自信に繋がるかも)。アリサ隊員のキョンシーアクションは、もっと長尺で観たかったですw

今まで実力はあるけど若造扱いだったウルトラマンゼロが、今回は先輩面して、ヒカルたちに特訓をつけるのも嬉しいところ。

まあ、あれから幾多の戦いを潜り抜けましたし、間に「スパークドールズ大戦」があったということで、1000年ほど齢を重ねてる可能性もある(とは言っても5900歳が6900歳に。人間で言うと高1が高3になった程度)ので成長したのだとは思いますが。

まあ、先輩面をしているのはギンガに対してではなく、あくまで、ヒカルやショウといった人間に対してだけなんですけどね(ギンガ本人は、未来から来たとはいえ、大人ですから)。

また、ヒカルとショウが、フュージョン(要は合体変身)して「ウルトラマンギンガビクトリー」になるのですが、その際の掛け声が「ウルトラタッチ」なのも嬉しかったですね。監督の趣味かな? これはインパクトあったから書かずにいようかと思ってたら、新列伝で思いっきりネタバレしてましたね。ぶっちゃけ、ムサシとジュリにも叫んでほしいです「ウルトラタッチ」w

オリジナルのAではオミットされてしまった合体変身ですが、こうやって時が経ってみればXのセタップや80の教師設定同様、作品を象徴する特徴になっているわけですな。

アレーナ姫こと小宮有紗さんは、姫君してました。土屋太鳳さんのエメラナ姫以来の「ウルトラプリンセス」ですね。土屋さんは次期朝ドラの主演が決定しているので、小宮さんも続いて欲しいところです。

タイトルの「ウルトラ10勇士」というのは、ティガ、ダイナ、ガイア、コスモス、ネクサス、マックス、メビウス、ゼロといった平成TVシリーズの主演ウルトラマンたち8人と、現役ウルトラマンであるギンガ、ビクトリーの計10人。

流石にアグル、ジャスティス、ゼノン、ヒカリといったサブはいませんし、ネオスやゼアス、ナイス、セブンXもいませんw

でも、各作品の主演と当代のサブという集合は、仮面ライダーでもお馴染みですし、平成の主演ウルトラマンが勢ぞろいするって実は初ですよね。

来年のウルトラシリーズ50周年を控えて、いいクロスオーヴァだったんじゃないかと思います。

そういう意味では、ゼロTHE MOVIEやサーガが、劇場版ならではの別次元に「行く」という外伝的な話だったのが、今回はギンガの世界に他のウルトラマンが「来る」という本編的な話だったので、クロスオーヴァイベントとしても良かったですね。

まあ、ギンガS自体、殆どの出演者が特撮経験者だった上に、今作のゲストもゴーバスターズ出身者でしたから、違う意味でクロスオーヴァ感というか大集合感が、スクリーンから迸ってましたけど。

最後のバトルは、よくある『死亡遊戯』ものです。各階層に各ウルトラマンの宿敵がいるので、一組ずつ残って、残りの面子が最上階を目指す、的な。

そんなわけで、各ウルトラマンの見せ場ですよね。ウルトラマン一柱一柱に見せ場を作るっていうのは、監督の愛でしょう。

個人的にはネクサスが好きなんですけど、ダークザギは前作の劇場SPで登場済みなので、今作では、ダークメフィストが登場。メフィストと対峙するのは、当然のことながらジュネッス。

ウルトラ映画では客演ウルトラマンがフォームチェンジしないことが普通なんですが、今回はちゃんとフォームチェンジします。ただし、全フォームを見せるわけではなく、披露するのは一部フォーム。この辺は、ソフビの販売スケジュールと関係してるのかも知れません。いずれ、ジュネッスブルーとイズマエルの対戦が見られるかも知れませんね。

もちろん、今回のネクサスはどの時点のネクサスなんだ? という疑問は当然のことながら湧いてきます。ジュネッスにフォームチェンジし、ダークメフィストと対峙する以上、イメージ的には姫矢ネクサスであるんでしょうけど、ノアがネクサスに戻ってしまったのか、ノアの力の一部が実体化したものなのか、姫矢時代のネクサスが時空を超えてきたのか、姫矢が再び光と融合したのか、それはわかりません。ゼロがイージスを装着しているので、その辺はちょっと触れて欲しかったですけど、スルーです。

東映さんのように「今回はお祭りだから」とお茶を濁さないイメージのある円谷さんなので、何らかの裏設定はあるのかも知れませんが、作中では語られないので、あまり気にしないのが賢明でしょうね。

嬉しいのは、太陽くん本人が出演するコスモスや、声優の宮野真守さんが演じるゼロ以外にも、ダイナとガイアが、変身者本人の声でしゃべってくれること。今回は、ギンガでの演出に合わせて、他のウルトラマンたちも必殺技名を叫ぶのですが、それはそれで新鮮でいいですね。

できれば、他のウルトラマンたちも、可能な限り本人声で喋って欲しかったけど、多分、これが現時点での「可能な限り」なんですよね。

そんなわけで、今回は特撮ヒーロー映画のひとつの正解例を見たような気がします。

あくまでテレビシリーズの劇場版エピソード(後日談)というカタチではありますけどね。

シンプルだったし、飽きさせない展開だったので、ヒーローショーを観てるかの如く、集中して観ることができました。

二歳の息子も飽きることなく最後まで見られましたし、大人たちも楽しんで見ていたんじゃないかと思います。ギンガ本編をちゃんと試聴してなかった細君も、普通に熱中して観られたようですし。

今後のウルトラシリーズの展開が楽しみになる映画でした。

劇場に行こうかどうか迷っている人は、行っても良いと思います。

劇場版ウルトラマンギンガS公式サイト