ラストプレゼント〜娘と生きる最後の夏〜
自主映画などでお世話になっている猫のホテルの村上航氏が出演するということで、久々に毎週TVドラマなどを観てみた次第。
放映の殆どが野球中継で遅れたというのは、さすがは日テレという感じ。
日ごろ、TVドラマを観ている人にはそういうのは気にならないかもしれないが、やっぱり野球ってのは通常のTVプログラムからは独立して存在すべきなんだよなぁ、とか思ってみたり。
閑話休題。
実際、連ドラをちゃんと観たのは『ツーハンマン』以来、ゴールデンなら『人にやさしく』以来(その前は『天気予報の恋人』かなぁ?)なので、毎週同じ時間にTVの前にいるということ自体がなんとなくムズかゆく、それに合わせて生活している自分が微笑ましかったりもした。
(録画という習慣は僕にはないのだ)
内容はいたってシンプル。
突然、余命三ヶ月を申告されたキャリアウーマン的設計士(天海祐希)が、離婚した元夫(佐々木蔵之介)に引き取られている娘(福田麻由子)との絆を回復させていこう、というもの。
主人公である天海が基本的には余命三ヶ月であるということを明かさずに行動するので、視聴者は、基本的には「これから死に逝く者」である天海に感情移入しながら、物語を追っていくことになる。
面白かったのは、天海が自分の死期を告白した途端(あるいは天海の行動から気付く)に、その登場人物に感情移入できるようになる、ということ。
そうやって、最初はひとつだった視聴者の視点が、後半に向けて徐々に広がっていくのが、とてもよくできていた。
個人的な一番の感情の昂ぶりは佐々木蔵之介が天海の死期を知り、娘を天海の田舎に送り届けたあと、自分の婚約者(永作博美)に迎えられ、泣き崩れるシーン。
脚本的にも上手かったが、やはりこれは役者の実力に泣かされた気がする。
そして、最終話まで開かれない視点。それが、娘である福田麻由子の視点。
これが単なる「死に逝く女の話」ではなく、「死に逝く母と遺される娘の話」であるということを、最後の最期でようやく思い出す。
そうなのだ。
父とその婚約者、母とその恋人(要潤)。娘を中心として構成されている世界感だからこそ、最期はこの5人が仲良くフレームに納まっていられるのだ。
物語は、天海の死を待たずに終わる。
綺麗すぎる感は残るが、観て良かったと思う。
ちなみに、個人的に一番好きだったエピソードは、天海と担当医(升毅)が一緒に食事をしたときに語る、料理をシェアする話。
レストランでは連れとは違う料理を頼みたいものだ。
『ラストプレゼント〜娘と生きる最後の夏〜』(2004/7/7〜9/15:全11話)
脚本:秦建日子
プロデューサ:大平太/太田雅晴/東康之
音楽:池頼広
出演:天海祐希/永作博美/佐々木蔵之介/須藤理彩/要潤/福田麻由子/遊井亮子/八十田勇一/渡辺蘭/麻生幸佑/村上航/築山万有美/山岡由実/鈴木亮介/山岸史卓/高橋賢人/牧里江子/松重豊/中島ひろ子/升毅/深浦加奈子/中根徹/五森大輔/菅原禄弥/俵木藤汰/氏家恵/小倉久寛/大森暁美/林泰文/田畑智子/平泉成
主題歌:『僕が一番欲しかったもの』槇原敬之
製作著作:日本テレビ