機動戦士ガンダムSEED〜遥かなる暁〜

虚空の戦場』に続く『機動戦士ガンダムSEED』の総集編第二弾。

いや〜、これはちょっとヤバいんではないかな?

物語の中でも特に戦局が激動する第22話〜40話を中心に構成したせいかもしれないけれど、これじゃ何も伝わってこない。ただの総集映像だ。

前作がフレイとキラの関係を中心に上手いこと新作映像を交えて90分余りの独立した作品として再構成させていただけに、これは残念でならない。

オノゴロで再会したのも束の間、ニコルの死、トールの死を経て、お互いを憎むようになったキラとアスランの哀しい決闘と自爆。別離。

トールを失ったミリアリアと捕虜となったディアッカの認識の差。ドロドロの人間関係。

物語を「連合=主役側、ザフト=敵」という二極化した世界かと思わせておいて、スピットブレイクを逆手に取ったアラスカ・ジョシュアでの連合のサイクロプス発動や、パナマ占領戦でのザフトによるグングニル発動と捕虜虐殺、アズラエルによるオーブ進行、クライン派の決起とどんどん変わっていく戦局の中、最終回に向けて見えてくるはずの物語の落着点。

そしてキラとアスランの再会……。

SEEDのSEEDたる部分が全部、流されちゃってるの。

ただの総集編映像でしかない。

変に冒頭でアスランカガリの話っぽくしようとするから駄目なんだよなぁ。そこに尺を使ってどうするんだろう?

切るところは切って、活かすところは活かさないと……ねぇ?

まあ、そんなわけで物語はうまくまとめられていない上に足早に流れ、よくわからないまま最終局面に到達していく。

ただ、ラストシーンだけは40話のマスドライバによる宇宙への脱出なので、よくわからないなりにも盛り上がるんじゃないかな?

ここはTV版でもかなり盛り上がるシーンなので。

そんなわけで、最終章『鳴動の宇宙』は41話〜50話のまとめということになる。

この話数ならうまく締められるんじゃないかな? 今度こそ、すてきな編集を頼むよ。

『機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディションII/遥かなる暁』

原作:矢立肇富野由悠季

監督:福田己津央

シリーズ構成:両澤千晶

キャラクタデザイン:平井久司

メカニックデザイン大河原邦男山根公利

音楽:佐橋俊彦

プロデューサ:竹田靑滋(毎日放送)/古澤文邦(サンライズ

出演:保志総一朗石田彰進藤尚美田中理恵大川透三石琴乃子安武人桑島法子千葉一伸渋谷茂鳥海勝美中嶋聡彦/井上隆之/白鳥哲/高戸靖広/豊口めぐみ笹沼晃柳沢三千代井上喜久子/水内清光/後藤史彦/有本欽隆関俊彦関智一朴璐美秋元羊介中井和哉三戸耕三稲葉実檜山修之結城比呂涼平宮本駿一/河口博/菅原淳一松本さち