ハウルの動く城
まさか初日の0時に六本木ヒルズに行くことになるとは……。
宮崎駿がありものの作品を元に映画を作る際、原作は彼のやりたいことのために利用されているケースが多い。
だから、この作品をダイアナ・ウィン・ジョーンズの『魔法使いハウルと火の悪魔』(未読)のアニメ映画化と言ってしまうのは、少々、危険かもしれない。
ともあれ、魔法が存在する架空の19世紀後半から20世紀初頭のヨーロッパ風の世界感の中、物語は始まる。舞台となる国は他国と戦争状態であるが、それは日常であり、その背景について詳しく描写されることはない。
この作品がどういう作品なのか、というのを説明するのに一番良いのは、ストーリィラインを説明するよりは、主人公ソフィーの目から見た魔法使いハウルについてを箇条書きにすることだろうか。
・彼のことを知らない人たちが、出所不明の悪い噂をしている。
・実際に会ってみると素敵な人物であり、どこか神秘的な感じがする。
・整理整頓という習慣を知らず、自宅は汚い。
・仕事はできるようで、多方面の人たちから頼られている。
・勝手に掃除したことに対して怒る。
・見てくれに対してどうでもいいこだわりがあるらしい。
・時折、どこかへ出かけていくが、何をしているのかよくわからない。
・一旦、落ち込むと手がつけられない。
・臆病である。
・複数の女性に狙われている。
・やらなきゃいけないとわかっていることに対して、腰が重い。
・自分のことを心配してくれているようだが、ピントがズレている。
・そして、何かに深く傷ついている。
多くの女性にとって、それは日常で感じることのオンパレードだろう。
これは恋のお話なのだ。恋の御伽話なのだ。多少強引だが、状況や設定っていうのは、舞台上のセットにすぎないといってしまうこともできる。
堅実に生きていたソフィーは、ある日、突然、とんでもない状況の中に放り込まれてしまう。
しかし、その状態に放り込まれてからの彼女の方が、以前の彼女よりも、アクティブに動き回る。宮崎映画の主人公としての資質あり、ということか。
『ハリー・ポッター』でもいえることだが、元々、「ファンタジィ」だとか「御伽話」というツールが好きなので、とても楽しく観ることができた。
多少、端折られている部分があるので、いろいろと脳内で補完する必要はあるけど。
役者的には、劇団宮崎の第○回公演、といった感じもするキャスティングだ。
我修院達也なんて、いつのまにか宮崎ファミリィですよ。
神木隆之介は大好きなので、大歓迎。美輪明宏は狙いすぎな感がなくもないけど。
主役の二人に言及する必要は特にないかな。問題なし。
どうせ勧めなくても、皆、観にいくだろうし、映画館に行かない人は、いずれテレビでやるからいいや、とか思っているに違いない。
そうでなくても、一生のうちに何度か観る機会はあると思う。
なので、特には勧めない。観たい人だけ観ればいい。
『ハウルの動く城』(2004)
監督・脚本:宮崎駿
プロデューサ:鈴木敏夫
音楽:久石譲
出演:倍賞千恵子/木村拓哉/美輪明宏/我修院達也/神木隆之介/伊崎充則/大泉洋/大塚明夫/原田大二郎/加藤治子/保村真/村治学/つかもと景子/香月弥生/佐々木誠二/高橋広司/八十川真由野/菅野莉央/高橋耕次郎/櫻井章喜/栗田桃子/目黒未奈/大原康裕/田中明生/山田里奈/半場友恵/鍛治直人/関輝夫/片渕忍/乾政子/大林洋平/宮島岳史/水落幸子/小泉真希/西岡野人/明石鉄平/大西玲子/尾方佑三子/上川路啓志/清田智彦/金子加於理/中島愛子/桑原淳/小林優太/野村悠子/福士珠代/竹谷敦史/田中宏樹/藤﨑あかね/松岡依都美/中川義文/松角洋平/栁橋朋典/安田顕/森崎博之/佐藤重幸/音尾琢真
参照
長くなるのでかいつまんで。(みそだれ日記)