キリンプロ『キネマの天地』
うちの公演にもちょくちょく出演してくれている藤田英明君が、所属事務所の公演をやるってんで、築地のブディストホールまで行ってきた。
『仮面ライダー555』でヒロイン園田真理役だった芳賀優里亜と、『仮面ライダーアギト』でヒロイン風谷真魚役だった秋山莉奈も出演。
平成仮面ライダーと呼ばれるシリーズでは、アギトと555が好きだったということもあって(とりわけ演者さんのファンというわけでもないのだが、嫌いではないし)、迷った挙句、重い腰をあげた次第。
山田洋次監督の同名の映画は見たことがないのだが、直接の関係はない模様。
ただ、田中小春や島田健二郎、小倉監督など、一部、登場人物名がかぶっているので、後日譚もしくは外伝的位置付けなのかも知れない。
昭和10年、築地の東京劇場に集められた4人の花形女優。
新作の打ち合わせと称して集められた彼女たちは、監督たちの策略をつゆ知らず、いつものように見栄を張り合っている。
そこへ謎の刑事が登場し……。
映画産業華やかなりし頃を舞台としたコメディで、役者の目から……ではなく製作側から見たディフォルメされた女優像を描いていくことで、芝居のなんたるかを浮き彫りにしていく、そんな作品。
築地という設定は偶然か、狙ってブディストホールにしたのか……。
建て込みはなく、完全な素舞台。
設定上、素舞台でも全然かまわないわけだが、どちらかといえばブディストホールは講演会用といった感じの舞台なので、それなりに建て込みをした方が良かったかもしれない。こんなのとか、こんなのとかあるわけだし。
演出は、ややダレ風味。
女優陣も映像畑の方が多いのか、ちょっと演技が、地に脚がついていないというか、少々、頼りないように感じた。
そんな意味では、ひっかきまわし役の藤田君や、監督役の高野君は安定した演技を見せていたように思う。
やっぱ、舞台慣れしているってことなのだろうか?
もうちょっと締まった演出をすれば、楽しめる戯曲(といいつつ普段、芝居が日常にない人には面白くないようなネタだらけだったが)なんだろうけどな、と思い劇場をあとにしたのだった。
機会があったら映画『キネマの天地』も観てみたいと思う。
キリンプロ
『キネマの天地』
作:井上ひさし
演出:鷲田照幸
出演:市麻充子/小林洋子/芳賀優里亜/秋山莉奈/藤田英明/柳秀圭/高野ちん太郎
(別キャスト:荒井志乃/常盤真由美/浜田えみこ/おやちあき/亀山おさむ/江里口将弘/亀山さとる)
劇場:築地本願寺ブディストホール
2005/4/14⇒4/16
⇒キリンプロ公式サイト
⇒らちゃかん公式サイト
《参照》
つの字(塒のこっちがわ)
芳賀優里亜×キネマの天地(変身)