人の世、鬼の世、さかしまに……

自宅でカタカタと仕事のシナリオ打ってたんですが、
夕方頃、いてもたってもいられなくなり、
家を飛び出して銀座へ!

すでに前売り券は買ってある『阿修羅城の瞳』を
見てまいりました。

この作品、1987年に劇団☆新感線が上演したもので、
当時の看板女優の引退作だったそうです。
旗揚げ7年目にして、この公演でようやく動員1000人超えしたとか。
ホント、小劇場って感じの公演だったみたいですね。
このときの病葉出門は古田新太
邪空役はなんと猪上秀徳(いのうえひでのり)がやったんだそうです。
見たい……。

1997年の『髑髏城の七人』を市川染五郎が絶賛したこともあり、
2000年に松竹のバックアップで、市川染五郎主演、富田靖子がヒロイン
……という布陣で上演されました。
すでにこの時点までで人気劇団だった新感線でしたが、
この公演で「芸能の世界」(魑魅魍魎の巣食う場所)的にようやく認知された、のだと思います。

2003年には、ヒロインを天海祐希にして、再々演。
なんと7万人を動員したそうです。
映画やゲームなどと比べると少ない数ですが、快挙です。

その「阿修羅城」が『壬生義士伝』の滝田監督によって映画化。
病葉出門役は市川染五郎が続投。ヒロインは宮沢りえ

僕は2003年版をDVDで観ただけですが、
期待と不安の入り混じる中、映画版を観ました。

もちろん歌あり笑いの3時間のエンターテイメント活劇を
2時間のストーリィものにしなければならないので、
いろんな取捨選択があります。

歌ったり踊ったりギャグ言ったり、という枝葉が削られて
本筋だけ残っているので、映画としては、
平凡なSFX時代劇になってしまった感はありました。
……まあ、でも予想通りではあります。

文化文政の風俗はもっと粋で艶(あで)だと思うのですが、
なんかエスニックな江戸描写にされてしまったのは
ちょっと残念だったかな?

でも、実際に琴平の金丸座を用いて撮影されたという
歌舞伎小屋のシーンは映画ならではの迫力と説得力。
http://www.arch-hiroshima.net/a-map/kagawa/kanamaru.html
奈落からあの人が出てくるシーン、笑いました。

一応、歌舞伎がベースにあるので
「恨みまするぞ」とか「首が飛んでも……」など
四谷怪談のパロディが全開だったのは◎。

後半はSFXを使った漫画チックな展開になってしまうので、
特撮に目の肥えてる人には陳腐かも。
しょうがないかもしれませんが、そこは何とかしてほしかったです。

あとは……舞台でもそうでしたが、
ラストの二人の殺陣の最中の会話はまんまセックス描写ですねぇ。

[/photo_10/]
この芝居、ヨモが脚本提供しているSparksって劇団の
桑原和生氏が鬼御門役で出演してます。
そういう意味でも、見どころはありました。
っていうか、普通に見知った顔があると、
そっちに目がいっちゃうので困ったんですけどね……。

追記:ああ、そうそう。あと映画の最中に地震があって、
焦りました……。