スウィングガールズ
ジャズやるべ♪
『ひみつの花園』の矢口史康監督による娯楽音楽作品っていえばいいのかな?
とある東北(山形?)の高校の夏休み。
ぼんやりと補習を受けることしかできなかった13名の少女たちは、ちょっとした手違いで吹奏楽部の部員たちを病院送りにしてしまう。
自分たちのしでかしてしまった失敗の穴を埋めるため、3人の助っ人少女と、1名の吹奏楽部の生き残りの少年らとともに、ビッグバンドジャズを始めることに。
それが契機で、彼女たちをとりまく環境は大きく変わっていくことになる。
基本的なコンセプトは『スクール・オブ・ロック』とほぼ同じ。
ちょっとした契機で結成されたバンドが、様々なトラブルを乗り越えて、最後にコンサートを成功させる。
「音楽を通じて芽生える気持ち」なんていいから、できあがった音を聴け!
ただ、それだけの映画。
とは言っても、本作はロックではなくジャズ。
しかも、演奏するのは楽器なんて触ったこともなかったような田舎の女子高生たち。
ガール・ミーツ・ジャズ。そんな絵的なところから入ったであろう作品。
話は明るくコミカルに進んでいく。
音楽家族の生まれでない一学生が音楽をやるのに最初に立ちはだかる壁は、演奏能力とかそういうものではなく、「楽器を入手する」ということだ、というのは、ある意味、非常にリアルだった。
ただ、彼女たちに次から次へと立ちはだかっていく困難の壁の数々はベタで、最初のうちは許せるのだが、だんだん「早く本題を進めてくれ」と思うようになってしまう。しつこかったかなぁ。
まあ、じらされた分だけ、ラストのコンサートは盛り上がるのだが。
吹き替えを使わず、出演者たちが実際に演奏するシーンをクライマックスにもってくる──その着想は大当たりで、非常に楽しかった。
彼女たちが演奏する映像を観ながら、そして演奏を聞きながら、一緒に裏拍で拍手してしまいかねない。
そんな雰囲気が良いのだろう。
『メキシカン・フライヤー』が始まった瞬間、冒頭でヒロインの妹が『スペースチャンネル5』をプレイしていたことに合点がいく、というのもニクい演出だ。
好きなキャラクタは、バンドの中ではギターの弘美(関根香菜)とベースの由香(水田芙美子)の2人組。
斜に構えながらも、他の中途半端な連中と違って、ちゃんと付き合うマジハンパネッスヨ的な態度が気に入った。
その他のキャラクタでは、吹奏楽部の男子生徒・部長(高橋一生)が気に入った。っていうか、この役、あんなに重要だったのに、役名が「吹奏楽部の男子生徒・部長」なのかよ……。
彼が、一人だけ裏拍で手拍子を打って、それに全体が合わせていくシーンが、この映画の全てを物語っているように思えた。
冒頭の「うぇぼっ!」も気合い入ってたし……ね(汚)。
いやぁ、それにしても良かった。
どうせなら『スウィングガールズ ファースト&ラストコンサート』も観ようかな?
『スウィングガールズ』(2004)
監督:矢口史靖
脚本:矢口史靖
プロデューサ:関口大輔/堀川慎太郎
音楽:ミッキー吉野/岸本ひろし
出演:上野樹里/平岡祐太/貫地谷しほり/本仮屋ユイカ/豊島由佳梨/関根香菜/水田芙美子/あすか/中村知世/根本直枝/松田まどか/金﨑睦美/あべなぎさ/長嶋美紗/前原絵里/中沢なつき/辰巳奈都子/白石美帆/徳井優/田中要次/木野花/大倉幸二/菅原大吉/西田尚美/竹中直人/小日向文世/渡辺えり子/江口のりこ/眞島秀和/三上真史/福士誠治/高橋一生/佐藤二朗/森下能幸/宝井誠明/坂田聡/金子莉奈/谷本和優/岩佐真悠子/森康子/林田麻里/武田祐子/小形雄二/桜むつ子/谷啓