ホテルビーナス
青。
彼らの根城がそうであるように、全編青で彩られたこの無国籍な街も、すべてが逃げ場所。
そんな街。
逃げる観客たちの、それは心象風景でもある。
見慣れない風景、どこかで見たことのあるような顔をした住人たちは、しかし聞きなれぬ言語を話しており、どこかこの世のことでないような印象を醸し出している。
まったく知らない風景なのに、聞きなれない言葉ばかりなのに、流れてくる音楽はよく聞き慣れたもの、という曖昧さが、多分、この映画のすべてなのだろう。
登場人物たちは、最後に色を取り戻す。
しかし、まだ僕は青に彩られた世界に取り遺されたままなのである。
『ホテルビーナス』(2004)
監督:タカハタ秀太
脚本:麻生哲朗
プロデューサ:小川泰/前田久閑/豊島雅郎/衛藤雄一郎
音楽:LOVE PSYCHEDELICO
出演:市村正親/草彅剛/香川照之/中谷美希/パク・ジョンウ/コ・ドヒ/チョ・ウンジ/イ・ジュンギ/伊武雅刀/松尾貴史/勝村政信/田中要次/ピート/金子りずむ/笛木優子/つんく♂/香取慎吾
⇒ホテルビーナス公式サイト
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