交渉人 真下正義

クリスマスにレンタルしてきて、26日に鑑賞。

本当は、劇場で観たかったのだが、いろいろとバタバタしていたせいで行きそびれてしまったので、DVDが出るのを心待ちにしていた。

『容疑者 室井慎次』を劇場で観た後、『逃亡者 木島丈一郎』という番組が放映されるという噂を聞きつけてからは、その放映前に『交渉人 真下正義』を観たいなぁ、と思っていたのだが、同番組は『交渉人』のプロモーション的役割も担っていたわけだ。

なので、映画が先の人間と、『逃亡者』が先の人間とでは、全体的な印象が異なるだろうな、と感じた。

『逃亡者』のラストが『交渉人』につながるようになっているため、阿漕だなぁと思いつつも、楽しみに観てしまうあたり、計略にハマってるわけで……。なんともはや……。

ともあれ、作中に登場する「地上担当」の刑事「木島さん」にも十分感情移入して観ることができたのは幸い。

ストーリィは前置きもそこそこにいきなりガツンと始まる。

しかも、クリスマスシーズンが舞台。映画の公開って5月頃じゃなかったかな、と思うのだが、最初からDVD発売をこの時期にするつもりだったのだろう。さすが、フジテレビ&東宝……。

都内の地下に縦横無尽に張り巡らされた地下鉄の路線を蜘蛛の巣に喩え、愉快犯的な犯人の遠隔操作する新型の試作車両が走り回る、というある意味大規模テロともいうべき事件が起こる。

その事件の犯人に、直々にネゴシエータである真下が指名された、という内容。

全体的な感想から言うならかなり楽しめた。

得体の知れない犯人のせいで、ダイヤが混乱したり、電車と新型車両が衝突しそうになったりしつつ、それでも当然ながら都内数百万の足は止まらない……。

東京近郊に住み、地下鉄に乗ることが日常となっている身としては、かなり興味深い内容だったし、駅でのパニックのシーンも観ていて楽しかった。

ただ、残念だったのは、事件の構想ありきで新型車両「クモE4-600」の設定が作られている、ということを隠そうともしていなかったこと。

フリーゲージでバッテリィで自走する……、という車両がどうして試作されていたのか、嘘でもいいから説得力が欲しかったなぁ。

その割には遠隔操作に関しては練られてないのも残念だった。一応、運転席には各キャリアの携帯電話・PHSが複数置いてあったけど、脇線や通電してない工事中の新線に基地局が設置されてるわけじゃないだろうしなぁ……。

どーせだったら、地下鉄の路線を自在に遠隔操作で移動できる車両の設定も考えて欲しかった。

あと観ていて「ん〜?」と思ってしまったのは、小泉孝太郎演じる小池が、犯人の示した「335.2」について指摘するくだりかな?

結構、断定的に真下に告げていたので、「そうかもしれないけど、他の可能性もあるわけだろ」と思ってしまった。あそこは、もっと推論っぽく言って、その根拠を示した方が、逆に断定よりも説得力が出るのにな……。

作中の「交渉術」に関しては、言及しない方向でお茶を濁しておこうと思う。そこを楽しむ作品ではないと感じたのでw

……などと思いつつも全体的にはイキオイでラストまで楽しく観ることができた。

真下正義という人物像が、真下本来のイメージとユースケ・サンタマリアのタレントイメージとの間で大きく揺れ動いてしまっている感じもしたが、バランスはギリギリとれていたように思える。

本広監督は、洋画っぽく楽しめる邦画を撮ることができる数少ない監督だな。

そして、エンディングは『サンタが町にやってくる』……。

完全なクリスマス映画だよ。

スクリーンで観られなかったのは残念だけど、この時期に観たのはある意味で正解か……。

『交渉人 真下正義』("NEGOTIATOR●MASHITA MASAYOSHI" 2005)

監督:本広克行

原案:君塚良一

脚本:十川誠志

製作:亀山千広

プロデューサ:臼井裕詞/堀部徹/安藤親広

音楽:松本晃彦

出演:ユースケ・サンタマリア寺島進小泉孝太郎高杉亘松重豊甲本雅裕遠山俊也柳葉敏郎水野美紀八千草薫/西村雅彦/石井正則金田龍之介國村隼

『交渉人 真下正義』公式サイト