代々木の杜にて

ここ数年、恒例で三が日をはずして明治神宮へお参りに行っている。
今年も皆を誘って行こうと思っていたのだが、それは封じられてしまったので、一人で明治神宮まで行ってきた。
他に誰かを誘おうかとも思ったが、特に思いつかなかったし、不特定多数を誘うのと、選別された誰かを誘うのでは意味合いが変わってくるので、やめておいた。
一人で行くというのが、今年の自分には相応しい。

野暮用という名の物理的接触を済ませてから行ったので、ちょうど臨時ホームが閉鎖される直前に原宿駅に降り立った。
日は暮れかけて、ライトアップされた境内はなんとなく神秘的だった。
菊の紋を見ていたら、なんとなく「たまには東照宮にも参拝した方がいいかなぁ……」なんていう考えが浮かんできた。
二礼ニ拝一礼を済ませ、大御心をひく。
今年は、昭憲皇太后の「鏡」という歌。僕的には昭憲皇太后率が高い気がする。

朝ごとにむかふ鏡のくもりなく
あらまほしきは心なりけり

……深い。言うは易いが、今の自分の心はかなりささくれている。
どうにもならぬことよなぁ、と見上げた空は木々の間に澄んでいて、だからといって心休まるわけでもなく、ため息をつくのみ。
休憩所でフランクフルトをパクつきつつ、不味い珈琲を胃に注ぎ込むことで折り合いをつける。

杜を出て、そのまま代々木競技場を横目に南下。渋谷へと抜ける。
ライトアップされた正月の街並みはとても綺麗で、ガイジンに道なんか聞かれちゃったりして、溶け込むことを強要されるが、別にそれは不快なことでも何でもなく、イルミネーションの一部と成り下がる。
パルコの脇を抜け、スペイン坂を降り、センター街のさくらやに入ってマウスを買う。
買ったマウスを大事に抱きながら東急線に乗って渋谷をあとにする。

これでもう左クリックになやまされることはない。
慣れないマウスにちょっと困るだけで済むだろう。