サキハヤ

開花予想を過ぎてもなかなか開かなかった桜は
先週の陽気で一気に花開きましたね。

土曜日に上野恩賜公園へ行ったのですが、
大混雑でした。
ホント、上野駅は、公園口から出られないほどの盛況で。
いざ公園へ入ってみたら、その盛況さも頷けるほどの
見事な花々。

桜は人を狂わせます。
幽けき花々の群れは妖かしの如し。

その後、すぐに雨で散ってしまいましたから、
今年の見ごろは二三日程度だったことでしょう。

「さくら」の語源は「咲く」から来ていると言われています。
「咲く」「むら」で「さくら」、あるいは「咲く」「らむ」で「さくら」。

本居宣長などは「咲きはや」が語源だと言ってますね。
これは「輝くように咲く」という意味のようです。

あるいは、天孫ニニギの妻である此花咲耶比売から来ている、とも
言われますね。まあ結局は、「咲く」から来ているということになります。

どれも、「一瞬の栄華」を示す言葉のような気がします。

別の説では、「さく」「ら」ではなく「さ」「くら」と分解して
解釈しているものもあります。
古く火や火山の神が「あさ」とか「あそ」と呼ばれるように、
農耕の神を「さ」と言うのだそうです。
そして、「くら」は神のやどる御座(みくら)。
この花が咲いたら、もうすぐ田植えが始まるよ、という
シーズンの到来を知らせる、「予感」「予兆」のような言葉です。

「一瞬の栄華」か「豊穣の予感」か。
印象は違いますけど、しかしどちらも同じモノを指し示す言葉です。
何かの二面性を示しているのかもしれません。

あの薄紅の花びらは日本人の心を惑わす何かを発している、
そう思えてならないのです。幼少の頃からの刷り込みですよね。多分。

海外で群生した桜を見ることはなかなかないでしょうから、
外国の方は桜を観て、心惑わされることはないのかもしれませんけどねぇ……。