仮面ライダークウガ

そうなんだよ。これを待ってたんだよ。

仮面ライダーディケイド』を毎週楽しみにしている身として、どうしても納得できないことをひとつあげるとするなら「ユウスケの扱い」でした。

クウガの世界」で颯爽と登場した村井良大演じる「小野寺ユウスケこと仮面ライダークウガ」。オダギリジョー演じる五代雄介のクウガのテイストを残しつつも、それとは違う「未熟」なクウガの登場は、今後の『ディケイド』を期待させるのに十分なギミックでした。

今後、クウガが2番手ライダーのポジションとして、ディケイド=士の旅に同行する、というのは、『ディケイド』が「士の自分探しの旅」であると同時に「ユウスケの成長の旅」の物語になるのだと。

しかし、二代目クウガを襲名したはずの小野寺ユウスケは、「キバの世界」でワタルとの友情のために変身(これはカッコ良かった)して以降、どういうわけかめっきり変身しなくなってしまいます。

各世界のライダーを立てなければならないという理由もあったとは思いますが、クウガに変身しないユウスケというのは、マジンガーに搭乗しない『グレンダイザー』の兜甲児のようなもので、見ているこちらとしてはかなりストレスのたまる措置でした。

以降、ユウスケは2番手ライダーではなくK太郎ポジション(『555』の啓太郎、『剣』の虎太郎)としてコメディリリーフ的な立場を揺るぎないものとしていき、2号ライダーである「ディエンド」の登場によってその立場は確固たるものとなってしまいます。

唯一の見せ場は「アギトの世界」でG3-Xの装着員として戦ったことくらいでした。第4号であるユウスケが、第4号をモティーフとしたG3の装着員になる、というのは、実はかなり印象的な事件ではあったのですが、日常的にユウスケが変身して来なかったために、印象が薄くなってしまった感が否めません。

実は「『ウルトラマンレオ』のモロボシダンのように変身できなくなったのでは?」とか、「いやいや、実はライダー同士が醜い争いをしている間、話と関係ない所で変身して一般市民を怪人から守ってたのでは?」とか勝手な妄想は膨らみましたが、最終的に自分の中ではワタルのために変身したことを鑑みて、「本当に必要としたときしか彼は変身しない」という結論で無理矢理納得することにしたのです。

そんな中、ユウスケは突然「電王の世界」でクウガに変身します。

脚本は『龍騎』や『電王』のメインライタである小林靖子さん。映画ともリンクする「電王の世界」ということで鳴り物入りでの登場でした。

ユウスケは、モモタロスに乗り移られクウガではなく電王に変身したり、状況のわからない状態でモモタロスを敵だと思ってクウガに変身したり、モモタロスの攻撃で尻(正確にはクウガゴウラムの尻はユウスケの首なのですが)を刺されたり、とギャグ要員としての活躍を見せます。

ユウスケとしてはかなりの「見せ場」でしたし、小林さんのキャラを大切にするという力量は凄かったのですが、ずっと番組を視聴していた身としては「ずっと待ってたのにこれかい!」としょんぼりしたのを覚えてます。

これもユウスケが日常的にクウガに変身し活躍していれば、普通に抱腹絶倒の展開だったはずなんですけどね。そこまでの布石が、配牌が悪かった、としか言いようがありません。

割を食ってしまった小林さんには悪いのですが、僕たちは、三枚目ながらも決めるところは決めるユウスケ、というのが見たかったのです。

美少女戦士セーラームーン』といえば「実写版」、というくらい小林作品は好きなんですけどね。

その後もユウスケはあまり変身することはなく、たまに変身してもやられ役になるだけでした。

響鬼の世界」では、クウガ響鬼の共闘という夢のシチュエーションだったはずなんですけど、結局は見せ場もなく。「カブトの世界」では、士がカメンライドしたクウガクロックアップしたワームと対等に戦いますが、あそこはユウスケの方が良かったかも知れません。

ともかく、ユウスケ=かっこ悪い、クウガ=弱い、という印象を子供に植え付けようとしてるのかな〜的な、ね。そんなつもりはないとわかってるんですけどね、いろいろしょんぼりしてたわけですよ。

そこに来て再び小林靖子脚本。

今回は『侍戦隊シンケンジャー』とのタイアップで「ライダーのいない世界(シンケンジャーの世界)」に行くということで、その部分がかなりの話題になりました。

戦隊との絡みということで登場人物が多いのをどう捌くか、とか、ライダー班の演出でのバンクを使わないシンケンレッドの変身など、見どころはたくさんあったのですが、やはり今回はなんと言ってもユウスケの活躍でしょう。

乱戦ではありましたが、流ノ介との2番手同士の絡みも良かったですし、流ノ介・ことはとのコンビネーションも良かったですよね。

主役を食わないように、ゲストを食わないように、それでも物語を進行させ、決めるところは決める。

そう、それでこそ2番手。

理想的なユウスケ像がそこにはありました。

これです、これを待っていたんです。

思えば『魔動王グランゾート』でもウインザート、アクアビートがちゃんと活躍するようになってからが、面白かったわけで。

主役を主役として成立させつつ、2番手をどう立てるかって、作品生命を左右する重大な問題なんだと、改めて気付きましたよ。

おし、テンションあがってきた。

一時はどうしようかと迷ってましたが、やっぱ『ディケイド』のDVD買おうかな?