仮面ライダー555

レンタルビデオ店に置いてあった『仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』のポップが気になり第49話(1/11)、第50話(1/18)を観てみたものの、よくわからず、単体で観ても意味がわかるのか不安に思いながらも『パラダイス・ロスト』を借りてみたのが今年の1/27。以来、『仮面ライダー555』にハマってしまったわけだ。

アイテムも格好良かったしね。

結果、ここ数年見向きもしなかった「平成仮面ライダー」と呼ばれるシリーズ(クウガ、アギト、龍騎)をすべて鑑賞してしまったわけだが、『555』に関しては途中からビデオのリリースに追いついてしまったので、月一でリリースされるビデオを待ちわびる日々が続いていた。ようやく最終巻である12〜13巻がリリースされたため、数日前にその呪縛からも解放されたところである。

見終わった記念に駄文を少々……。

──ある日、人間が異形の存在になってしまう。

それが進化だったのか、それとも人の数を減らすために生まれた腫瘍のようなものだったのかはわからない。

しかし、ある日突然、人でなくなってしまった者たちにとっては、自分が不可逆的な境遇に追い込まれてしまったことの方が切実なのだ。

そんな中を生き、あるいは死んでしまった幾人かの物語に、僕は胸を痛める。

導入から謎だらけで始まった『555』の物語は、旅は道連れ状態になってしまった巧・真理・啓太郎の三人の物語であると同時に、ある日突然、異形の怪物となってしまった木場・結花・海堂の三人の物語でもあった。

ただ、三人と三人の物語であったはずの『555』が、三人と三人の物語としてしっかり機能していたのは劇場版の方で、TV本編は中盤からやや迷走状態に走ってしまう。

「流星塾の面々に関わる謎」と「ラッキークローバーの座をかけた戦い」。中盤は、ベルトの争奪戦を繰り広げる一方で、この2つのテーマに終始してしまったために、盛り上がりはするものの、やや間延びした印象を受けてしまった気がしないでもない。

澤田が死んで以降、ラスト10話くらいのところになって、突然、刑事たちやT-CLUB、メル友、くしゃみなどといった設定が思い出したように復活した感があるので、中盤パートをもっとコンパクトにすればもっと良くなったのにな、とは思うところではある。

ともあれ、純粋ゆえに物語を引っ掻き回し続けたの草加の壮絶な死に様や、綺麗事を言う割に結局二元論でしか考えられない木場の弱い心が産んだ結末など、『555』には無視できないものがたくさんあるわけで、良い物語であったな、と思うわけだ。

世の中には盆に返る覆水と、決して戻せない覆水の二種類が存在するわけだが、その両方を書ききれていたように思う。

だから、切ない。

返せる覆水は盆に戻してやればいい。返せない覆水のとこは忘れなければいい。

ボーダレスであるが故にすべてを背負ってしまった巧は、命ある限り覆水を盆に戻そうとし続けるだろうし、一人遺された海堂は返せない水を思いながら生きていくことだろう。

これだから人生ってやつぁ辛い。

しばらくは彼らのその後を想像しながら生きていこうかと思う。

『仮面ライダー555』(2003/1/26〜2004/1/18:全50話)

監督:田﨑竜太/長石多可男/石田秀範/田村直己/鈴木展弘

脚本:井上敏樹

プロデュース:濱田千佳(テレビ朝日)/白倉伸一郎/武部直美/宇都宮孝明(東映

音楽:松尾早人

出演:半田健人芳賀優里亜/溝呂木賢/泉政行/加藤美佳唐橋充村上幸平原田篤村井克行栗原瞳藤田玲/和香/山﨑潤/ケネス・ヅリア/綾野剛/山西道弘/河西りえ佐伯俊斉藤麻衣石田太郎/岩川幸司/中上ちか/三訳真奈美深沢敦大口兼悟/渡辺琢磨/河崎芳明/近田慎太郎/林裕子/倉澤薫/檜尾健太/本田博仁/川久保拓司/和田大法/勝村美香阿部進之介/小山裕達/杉内尚史/竹井みどり/加瀬慎一/つじしんめい/大久保綾乃佐藤寛子松坂紗良樋渡真司/落合ひとみ/吉満涼太//永田耕一/山本一輝/新井律男/若林誠/新穂えりか/長谷部香苗/木下政信/永沢巽/田中仁浩/山崎勝之/佐藤幹雄/影丸茂樹/小倉一郎/八木正純/鈴木浩司/松尾敏伸/田口亮/立川真也/皆川猿時/坂田鉄平/田村圭生/河野達郎/内山眞仁/森嶋將士/舘正貴/大塚幸太/千葉誠樹/栗原一馬/白井雅士/金原泰成/大塚太心/成田浬/渡辺彼野人/小林俊/中康治/假野剛彦

制作:テレビ朝日ADK東映

原作:石ノ森章太郎

Open your eyes for the final φ's...