猫のホテル『しぶき』
最近、何かとお世話になってる村上航氏の所属劇団・猫のホテル。
これまで『座長祭り2004』や『フリドニア〜フリドニア日記#1〜』を観にいったことはあったけど、本公演は初めての鑑賞。
金とセックスとで世の中が動いている、と思われていた時代(いや、今でも充分に動いているといってもいいのだけれど)のお話。
バブルバブル。
まるで『タイタニック』のように(笑)、とある男女の逃避行(?)という視点で、様々なシチュエーションの中を駆け抜けていく。
世知辛さを表現したかったのかもしれないが、世の中所詮、金とセックスさ、というスタンスだと、あまり物語が世知辛くならない気がした。
最後を二人のあの台詞で括るなら、状況よりももう少し二人に着目しても良かったんじゃないのかな、とも思う。
二人は、すべてにおいて脇役だったので。
あと、一箇所。回想に入ったのかと思って観てたら違った、という変な肩透かしがあった。
やってる方はミスリードしたつもりはないだろうから、こちらの勝手な思い過ごしだったのだろうけど、なんとなく気になった。
出演者の方はみな素晴らしくて、見ていて飽きなかった。
キャラクタも強烈な方ばかりで、笑えるし。
ただ、そのためか、常連のお客さんの笑いが出るのが早く、そこでカベを感じてしまうのも確か。前説からイキナリ、カベを感じるとは……。
個人的には菅原永二氏が良かったと思う。
今まで番外公演のようなものしか観ていなかったので、猫のホテルらしさ、というのがどういうモノかわからなかったのだが、ようやくわかったような気がする。
ここの芝居は、本当に小劇場なの? と思ってしまうほどに大衆色が強いのだ。
『座長祭り2004』のときはあえて大衆演劇っぽくやってるのかな、とも思ったのだけど違ったのか……。
まあ、ともあれ猫のホテルさんの本公演を観られて、良かった良かった。
猫のホテル『しぶき』
作・演出:千葉雅子
出演:中谷竜(ラブリーヨーヨー)/依田朋子/中村まこと/いけだしん/市川しんぺー/池田鉄洋/森田ガンツ/佐藤真弓/岩本靖輝/村上航/菅原永二/千葉雅子
劇場:ザ・スズナリ
2004/9/23⇒10/5
追記:出がけに沙村広明の『少女漫画家無宿 涙のランチョン日記』を(たまたま、久々に)読んでいったのはマズかったなぁ……。