BLUES TAXI『ノスタルジック・カフェ』

中野ザ・ポケットへ行ってきた。
甘城さんの出演する劇団ブルースタクシーの公演を観にいくためだ。
タイトルは『ノスタルジック・カフェ〜1971あの時君は〜』。
サブタイトルから類推できるように1971年を舞台にした物語──いや、正確に云うなら2004年に住む女の子が1971年の喫茶店に迷い込んでしまうお話。

現代の人が近過去(だいたい30年が目安)に迷い込み、そこの人々とのコミュニケーションを通じていろいろと学ぶ、というのは、割とポピュラなジャンルだと思う。
仮に「イエスタデイ・ワンス・モアもの」とでも呼ぼうか。
こういうのはSF的側面は低く、どちらかというとファンタジィ的な内容であることが多い。
この作品も多分に漏れずそんな感じで、喫茶店のある裏通りだけがタイムスリップしている。そんな中で、内気で現代にうまく溶け込めない女の子が、気のいい喫茶店の常連客と出会い、いろいろと考えるようになっていく。
『イエスタデイ・ワンス・モア』というよりは『きちがい通りのリナ』かな。

興味深い題材だったけど、僕には少々不満だった。単に主人公の少女に共感できなかっただけかも知れない。
彼女は現代が嫌いで2004年を代表する存在ではないのだ。だから、1971年の人々に惹かれるだけで、今を見ていない。
あえてそういうキャラクタとして描いた、と云われればそれまでだけど、脚本自体の落着点がそれと多分に重なっているように見えたので、どうにも好きになれなかった。

普遍的な過去賛歌、みたいな作品は好きじゃないんです。
「あの頃は良かった」とは個人の人生や経験からのみ、生まれる郷愁であってほしい。
まあ、そこが主題ではないんだけどね。

芝居自体はとんがった部分がなくて、無難な作品だったと思う。
家族で安心して観られる芝居、最大公約数のための芝居、動員の伸びる芝居。ウケも良かった。
でも、個人的には無難でなんとなくまとまってる作品より、どこか突出した部分があるものを求めたいので、僕としては評価は低めってことで。

甘城さんに挨拶して、中野の吉野家豚丼を食べ、帰る。

追記:セブンイレブンで売り始めたラ博プロデュースの「Night Noodle」を買い、食べてみた。
フタの裏に「なぜお酒を飲んだ後にラーメンが食べたくなるのでしょう?」という解説が。
……た、確かに! 食べたくなる!
五反田深夜3時なら、間違いなく一風堂へ行ってる!