3年B組金八先生〜伝説の教壇に立て!〜

これは、ある教師の再生の物語であり──
ある姉妹の絆の物語であり──
そして、ある男の狂気の物語である

言いすぎか。でも騙された。
これは「金八先生」というパッケージを被った、しかし別のものなんだと認識。

もちろん、「金八先生」としての側面もそれなりに機能している。
入院した坂本先生の代わりとしてサクラ中学に赴任してきた青年教師が、3年B組の生徒20名(正確には転校生がいるので21名)と一年間関わっていく、というのが基本ストーリィだし、金八と大森巡査の声は本人が担当している。
それに、上戸彩がカバーする主題歌「贈る言葉」も悪くない。

物語は、基本的には万人向けのヌルい、ともすれば安直と判断されてしまいがちなエピソードを中心に展開していく。ツッコミどころもある。
しかし、続けていくうちに登場人物にだんだん愛着が出てくる、ということに気付く。何しろいきなり30名近い人物が登場するのだ。名前だって徐々に覚えていくしかない。でも、話を進めていくうちに思い入れが出てくるのだ。

そして、関係という名の骨子で組み上げられた世界が完成に近づいた頃、それを台無しにする一人の使者がやってくる。そこがクライマックス。物語は一転してサスペンスと化していく……。これには正直驚いた。「金八じゃないじゃん」って……。
ここまで盛り上がるとは思わなかったので、意外だった。

システムは、ギャルゲーなどでよく見るタイプ。
1日4ターンの制限で場所を選択し、登場人物と会いアイコンで話を進める。
テキストが表示されないのでクリックの必要がなく、尺も含めて演出されているのが新しかったかも知れない。

2周目以降、新しいストーリィが出現するが、これが1周目の物語と並行して進んでいる、という点は面白かった。
頑張れば同時攻略も可能だが、ザッピングしながらだと話の印象も少し変わる。
「鉄ちゃんの恋」の鉄郎の行動は、「連弾」を同時にプレイしてそのときの誠の気持ちを鑑みると……(笑)

細かいところをあげると、
・才能開花システムは、結局のところみんなSに落ち着いてしまうのがイマイチだった
・金のしおり後に出てくる番外編は、ホント、おまけ程度だった
などというのもあるが、全体を見れば、結構秀逸なゲームだったように思う。
割とオススメ。

ちなみに気に入った登場人物は中島ヒカル。第1話から。
弟は塩見派だと言っていた。