猫のホテル『土色の恋情』
もろもろあわせて4回目、でも本公演としては2回目、完全新作としては初観劇となる猫のホテル。村上さんの本拠地。
ファニィな名前と裏腹の泥臭い雰囲気のお芝居が特徴、っていうのが今のところの印象。
種違いの兄弟が、行方不明の母親の足取りを追っている。
そんな折、昭和55年頃にとある漫才師夫婦の家で家政婦として働いていたことを知り、詳しいことを調べることになる。
脚本は、そんな導入とはまるで関係なく、二人の母親である塚田葉子という38歳の女性(猫背椿)が、その家にやってきて、そしてぷっつりと足取りが掴めなくなるまでの生活を描いていく。
劇団サイトのフラッシュで見せていた煽り文とは全然違う話だったので、なんか騙された気分(苦笑)。
昭和55年が舞台ということだけれど、あまりそういう空気を押し出しているわけではなく、むしろ現代劇といってしまっても通用するような感じ。
1時間40分程度の尺の中で、一人の女の人生の終わりの方のほんの一部を描く。そのことによって、その女の人生そのものが見えてくるような錯覚。そういう意味では心地よい作品だった。
『しぶき』よりは洗練されていたように思う。
面白かった。
何度も見たいような作品ではないけどね。
猫のホテル『土色の恋情』
作・演出:千葉雅子
出演:猫背椿(大人計画)/中村まこと/池田鉄洋/佐藤真弓/菅原永二/市川しんぺー/村上航/森田ガンツ/岩本靖輝/いけだしん/辻修(動物電気)/千葉雅子
劇場:ザ・スズナリ
2005/1/1⇒1/16