空間製作社『水ノオト、波ノコエ』
うえだかつひこ氏と加藤毅氏が立ち上げ、今年1月にミュージカル『雪の華〜博徒四姉妹恋手鏡〜』を上演したレーベル「空間製作社」の第2弾は自主映画。
すでにF.B/CINEMA、Sky CINEMAなどのレーベルで自主映画を製作しているうえだ氏の7本目の作品、……になるのかな?
撮影時期的には中原組が『東京おしゃれ探偵シマヅヤマゴウGO!』第3話「覆水盆に返らず」を撮影していた頃と微妙にかぶっていたはずです。
最近は『東京おしゃれ探偵シマヅヤマゴウGO!』第1話〜第2話などコメディ調の作品ばかりだったのですが、今回は久々に処女作『お茶と麦酒』(第3回インディーズムービーフェスティバル入選作)のような小津テイストの作品でした。
簡単に言えば、病気でもう先は長くない三人と、その周囲の人間たちの日常の物語。
結論から言えば良かったです。
編集に力が入っていたというか、何というか。いつものうえだ氏の撮る画は、シーンとシーンのつなぎがもっさりしていて、ともすると「まだこの先何かあるの?」と思わせる印象があったのですが、今回はとてもタイトな編集になっていて、退屈することなく観ることができました。
1時間半ほどの長さの、かなり静かな内容の映画ですから、そういう配慮がないと、集中力が持続しなかったりするのですが、今回は大丈夫でした。
やっぱり、編集って大事なんですねぇ。
ある種、うえだ映画の完成形を見たのかな、って気分です。
喫茶店のシーンなどは、低気圧ガールのウエイトレス・玉置すずが登場するなど、『東京おしゃれ探偵』との微妙なリンクを見せたりする遊び心も入っていて、笑えました。
蓄積する作品は資産になる、ってことで。
空間シネマ
『水ノオト、波ノコエ』(モノクロ+一部カラー/スタンダード)
監督・脚本:うえだかつひこ
音楽:rakira
出演:城戸光晴(だるま座)/棚辺貴子/奈良百花/牧野耕治/柿森ななこ/藤田英明(らちゃかん)/小松愛(少年社中)/島崎義久/たきざわちえ象/まどかふみ/桑名しのぶ/山城秀之/太田和秀/石川秀樹/上田晴美/永村繁樹/上田勝彦/小池要之助
編集:小池要之助/うえだかつひこ
制作:加藤毅/坂本雅人/白鳥真理子
企画・製作:空間製作社
会場:なかのZERO視聴覚ホール
2005/5/8⇒5/9