やな家

週に一回、レンタル屋にDVDを借りに行くのだが、
最近は海外ドラマ『フレンズ』と昼ドラ『吾輩は主婦である』を
借りるのが習慣になっていた。
『フレンズ』はシーズンVに突入、まだ半分も経過していないのだが、
吾輩は主婦である』は全40話、8巻で構成されているので、
二ヶ月かけてようやく見終わった次第。

件の番組は放映時に少しだけ見たことがあったので、
「主婦」に「夏目漱石」が憑依するクドカン脚本の昼ドラ、
という知識しかなかった。
しかも、たまたましっかり観た回の出来が全40話の中でも
とりわけ面白くない回(全部観たあとだから言えるが)だったので、
そんなに興味はなかったのだ。

しかし、某所の某ワークショップにて第13話までの
脚本読みを行っていたため(そしてその第13話が面白かったため)、
借りてみることにしてみた次第。

いやはや、全編見終えてから言うのも何だけど、
なかなか面白かった。

冒頭の演出や放映当時のつたない知識では、
だと「吾輩」こと「漱石」の存在が主婦「みどり」の想像した人格なのか
それとも幽霊が憑依したのか、いまいちわからなかったが、
正確には「37歳」というやりなおしが効くのかきかないのか、
という微妙な年齢に達した「主婦」と同年代の頃の「漱石」の意識が
現代にやってきたことで起こるさまざまな事件、というコメディ作品だった。

昼ドラは月〜金までの5回×8週間の40話、という構成なので、
5話ごとの積み重ねでいろいろ変化していくのだが、
やっぱり、「みどり」が「吾輩」になるまでの5話は少々退屈。
やがて吾輩の存在を家族が認知し、吾輩が家族や商店街の問題を解決していき、
やがて、主婦小説家としてデビューしていく。
うん、この小説家のターンが好き。
文芸誌への転進を狙っている女性週刊誌の編集者の岡田義徳とか、
書きたいことも特にないのにWEB小説が100万部売れてしまった高橋一生やらが
登場してくると物語は俄然面白くなっていく。
ってか、高橋一生著作は「インストール」のパロディだし、
その風貌自体がクドカンのパロディだし……。
高橋一生といえば『スウィングガールズ』の吹奏楽部の部長さんだけど、
彼、良かったなぁ。

基本的にロケはあまりなく、マンション、喫茶店、商店街と
ほとんどセットでの撮影ってのは昼ドラのおやくそく。

ラストはどうまとめるのかと心配になったが、
こゝろ』にひっかけた最後の5話(つまりラスト1週間)の構成は、
かなり良かった。放映期間2ヶ月、作中期間3ヶ月というのが良かったな。

こういう作品は、後にエピソードを挿入しやすい
「あそび」(というか隙間)を入れておくといいんだな。
ぼぼレギュラキャラクタがそろった状態で、ドラマ的大変動が
起こる前の「日常」パートってあとから追加しやすいもんね。

たとえば『アズラエル』なら、全体のストーリーとは関係なく、
途中で起きた「とある死亡予定者の話」として、外伝がいくつか
作れるでしょ? そういうあれ。

一条ゆかりの『正しい恋愛のススメ』でも、メインストーリー終了後に、
「ビジネス編」として前半に挿入されるべき独立した話が書かれたでしょ。
そういうあれ。

『ナルト』は初期にそういう一般イベントをもっとやるべきだったし、
逆に『名探偵コナン』は一般イベントがメインで、主軸のストーリーは
一向に終わらないw

構成って大変です。

そういう意味では、この『吾輩は主婦である』は40話でうまくまとめてあると
思いましたよ。勉強になった。

途中で猫背椿 の投入とか暴走回もあったけどね。
ってか、中盤はやりたい放題だったけどね……。
そういうお遊びも含めて。

でも、それより何より、毎週ミッチーが見られたというのが大きいかも。
ミッチーいいなぁ。ミッチー好きでふ。

あ、クドカン自体は好きでも嫌いでもないです。