バグズ・ライフ
『トイ・ストーリー2』を劇場で観て以来、ディズニー×ピクサーのCG映画には信頼をおいていて、『モンスターズ・インク』や『ファインディング・ニモ』は公開するや否や劇場に駆け込んだ口──最初はピクサーを知らなくて『ダイナソー』も観ているがこれは失敗だった──ではあるが、実はそれ以前のピクサー映画には手を出していなかった。
何故かと問われれば、VHSのビデオデッキを買っていなかったため自分に映像作品をレンタルする風習がなかった(専らセルDVDだった)からだ。
でも、劇団の公演を観るためにデッキを買ったことと、ようやくDVDソフトのレンタルも活発になったことで、去年辺りからビデオレンタル店を活用するようになった。自分の中でちょっとしたパラダイム・シフトが起こったのかもしれない。
しばらく自分の中で続いた邦画ブームと特撮ブームがひと段落したので、まずは『バグズ・ライフ』を借りてみることにした。
借りる時はちょっとドキドキした。
劇場公開時(98年頃?)は、見た目の印象で「つまらなそうだ」と思ってたし、今は今で妙な期待があって、そのギャップの中で溺れそうな自分がいたのだ。
結局、忙しかったこともあるが、借りてから実際に観るまでに、6日を要してしまった。
躊躇することじゃないんだけどね。
結果は観てよかった、借りてよかった、と思えるのだが、もっと言うなら劇場で観たかった。
ピクサー製作のCG映画は主に絆や愛が軸になっていることが多いのだが、『バグズ・ライフ』は活劇寄りの内容。
誤解や勘違いから始まったことが、現実になっていくタイプのとびっきりコメディ。
面白かった。
CGの造形もいい。特にバッタ。怖い。
最初は「うは、サバイビー!」とか思いながら観ていたのだけれど、後半はむしろ『ドラゴンランス戦記』のドラゴニアンがうろついているかのような迫力を感じた。死んでも石にはならないが。
これで観ていないディズニー×ピクサーの長編は『トイ・ストーリー』だけになった。
すぐに観るかもしれないし、しばらく間を置くかもしれない。
『Mr.インクレディブル』も楽しみだ。
ディズニーとピクサーは『Mr.インクレディブル』とその次の作品『Cars』で契約が切れることになっている。
今年の1月に、契約更新交渉を打ち切ったニュースが流れたが、それはあまりに惜しい。
ピクサーにとってはディズニーよりもいい配給先はあるかもしれないが、だからといってピクサーとは違うスタジオに『トイ・ストーリー3』を作られても困る。
別にディズニーに傾倒しているわけではないし、アンチ・ディズニーを気取るわけでもないが、ディズニーランドやディズニーシーのようなテーマパークはとても好き(ああ大好きさ!)なので、そこにピクサーが創造したキャラクタが追加されなくなるというのは、なんだか淋しいのだ。
先月末に「ディズニーとピクサーが復縁するような噂がある」といった主旨のニュースが流れた。
どうなってしまうのか、興味は尽きない。
『バグズ・ライフ』("a bug's life" 1998)
監督:ジョン・ラセター/アンドリュー・スタントン
脚本:アンドリュー・スタントン/ドナルド・マッケナリー/ボブ・ショウ
製作:ダーラ・K・アンダーソン/ケヴィン・リハー
音楽:ランディ・ニューマン
出演(声):デイヴ・フォリー/ケヴィン・スペイシー/ジュリア・ルイス=ドレイファス/ヘイデン・パネティエーリ/フィリス・ディラー/リチャード・カインド/デヴィッド・ハイド・ピアス/ジョー・ランフト/デニス・リアリー/ジョナサン・ハリス/マデリン・カーン/ボニー・ハント/マイケル・マクシェイン/ジョン・ラッツェンバーガー/ブラッド・ギャレット/ロディ・マクドウォール